阪神 “鉄腕”久保田が2軍コーチで入閣へ 盟友・球児引退、未来の「JFK」育てる

[ 2020年11月3日 05:45 ]

<阪神セ・リーグ優勝>9回、1点を取られたものの最後をしっかりと締め、矢野輝弘捕手の駆け寄る前でガッツポーズを見せる久保田智之投手
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 阪神は久保田智之プロスカウト(39)を来季は2軍投手コーチとして初入閣させる方針で最終調整を進めていることが2日、分かった。現役時代は「JFK」の一角として05年のリーグ優勝に貢献。現役引退後は打撃投手、プロスカウトとして手腕を発揮していた。来季からは若手育成に期待がかかる。一方、高代延博2軍チーフコーチ(66)、香田勲男2軍投手コーチ(55)はコーチ契約満了で退任する。

 来季へ向けた準備が水面下で進んでいた。1軍は6試合を残す一方、2軍は既に1日にウエスタン・リーグの全日程が終了。8日から始まる「みやざきフェニックス・リーグ」への出発に備え、球団は2軍の組閣に着手した。球界関係者によると高代2軍チーフコーチ、香田2軍投手コーチが契約満了により今季限りで退任することが分かった。

 既に福留、能見、藤川らベテランが今季限りで退団することが決定。球団は選手同様、首脳陣の世代交代も推し進める方針で、次世代を担う新たな指導者として久保田氏を来季は2軍投手コーチ、または育成コーチとして起用する方向で最終調整に入ったとみられる。

 久保田氏は現役時代にウィリアムス、同年代の藤川とともに「JFK」としてブルペンの中核を担い、05年のリーグ優勝では抑えで27セーブを挙げて貢献した。07年にはセットアッパーとして前人未到の90試合登板の偉業を達成。いまだ破られていない最多登板のプロ野球日本記録を打ち立てるなど、最優秀中継ぎ投手賞のタイトルを2度獲得した。

 矢野監督とは数多くバッテリーを組んだ間柄。鉄腕の異名を持つなど申し分ない実績に加えて、周囲からの信頼が厚い人柄を評価され、球団は以前から将来のコーチ候補に位置づけていた。

 引退翌年の15年から打撃投手、17年からはプロスカウトとして活動してきた。プロスカウトとしては複数のトレード成立に関わるなど、ユニホームを脱いだ後も手腕を発揮。チームを支える裏方やフロント業務を経験したことで、球団は野球に対する視野が確実に広がり、選手指導を任せる時機が到来したと判断した。

 実現すれば、5年ぶりにタテジマのユニホームに袖を通すことになる。藤川の現役引退、能見の退団によって最後のリーグ優勝だった05年を1軍で経験した選手は1人もいなくなる。矢野監督を始めコーチ陣の中でも優勝の味を知る存在は数少ない。16年ぶりの優勝を目指す来季、若手育成の一環として「鉄腕魂」の注入に期待を寄せる。

 ▽JFK 05年に確立された阪神救援投手3人による勝利の方程式。ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の頭文字を並べて「JFK」と呼ばれた。主に7回から1人1イニングずつ抑える起用で、リーグ優勝した05年は3人がそろい踏みした49試合でチームは39勝6敗4分けの勝率・867を誇った。09年久保田の先発転向により解散。

 ◆久保田 智之(くぼた・ともゆき)1981年(昭56)1月30日生まれ、埼玉県出身の39歳。滑川、常磐大を経て、02年ドラフト5巡目で阪神入団。03、05年のリーグ優勝に貢献。05年から08年まで救援トリオ「JFK」の一角を担い07、08年に最優秀中継ぎ投手。07年シーズン90試合登板のプロ野球記録。通算成績は444試合41勝34敗47セーブ117ホールド、防御率3.16。14年オフの現役引退後も球団に残り、打撃投手を経て、17年から関東地区担当のプロスカウト。右投げ右打ち。

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