【侍J金メダルへの道】MVPは今永?! スポーツドキュメンタリー映画の今後 侍のカメラを止めるな

[ 2020年2月14日 14:49 ]

スポーツドキュメンタリー作品の今後について語る監督の三木慎太郎さん                               
Photo By スポニチ

 【侍ジャパン~2020東京五輪金メダルへの道~映画 侍の名のもとに(2)】稲葉監督就任の17年7月31日から、昨年11月の国際大会・プレミア12初優勝まで。侍ジャパンに密着した専属カメラが捉えたドキュメンタリー映画「侍の名のもとに~野球日本代表 侍ジャパンの800日~」が全国主要都市の映画館で絶賛公開中だ。監督の三木慎太郎さん(53)は、12年にDeNAの球団職員として「ダグアウトの向こう~横浜DeNAベイスターズ1年目の記録~」を撮影したスポーツドキュメンタリーの先駆者。成熟期へ向かう業界の今後を聞いた。(取材・構成 後藤 茂樹)

 前回の連載で「映画のポスターに使われた1枚のキャプチャー写真は、ある選手がベンチから撮影したカメラが捉えたシーン」と伝えた。選手たちの協力も得て完成した「侍の名のもとに」。公開初日なので「答え合わせは是非劇場で」と伏せたが、カメラを回していた選手はDeNA・今永昇太投手(26)だった。

 「素晴らしい1枚でした。撮った本人はどんな映像か、まさかポスターに使われているなんて思わないから驚いていました。“MVPだ”と今永投手に感謝を伝えました」

 メーンポスターのワンシーンは、決勝の優勝決定直前。登板予定のない今永は快く撮影係を担ってくれた。ベンチを飛び出し、感動の胴上げシーンまでアップで収めた。

 三木さんは12年、DeNA職員としてドキュメンタリー「ダグアウトの向こう」を制作。オフィシャルカメラだからこそ撮れる“裏側”の映像は好評を博し、シリーズ化された。追随するチームも増えた。

 「他球団を含めて、理解は出てきたんじゃないかと思います」と振り返る。昨季は巨人が密着ドキュメンタリー「GIANTS 復活への道」を制作した。「出すことによってマイナスも多いけども、プラスもやっぱりある」。一方で成熟期へ向かう難しさも感じている。「毎年やっていても、やはり飽きられる。そこは難しい」。手法は定着してきたが、より面白い映像を捉えるには何が必要になってくるのか。

 三木さんは「結局は撮る側と撮られる側の人間関係だと思う」と言う。「よく知らない人にカメラを回されたら、私だって嫌だと思います。撮るのがマネジャーや広報であっても、嫌がることもあると思う。その先の手法を、各球団がどうやっていくかだと思うんですよね」と先を見通す。

 三木さんも侍ジャパンを撮り始めた当初は、DeNA所属選手しか顔見知りがおらず、苦労させられた。「近づかない時は近づかない。ある程度の遠慮というか、リスペクトした上で回してきたので」と振り返る。

 侍ジャパンを撮り始めたのは15年から。その後カテゴリー別の代表を含め、貴重な映像を撮りだめることができた。今はその映像をアーカイブスとして保存できる時代。「作業や保管は大変ですけども。そこはしっかりやっていきましょうと、NPBエンタープライズさんとも話しています」。佐々木朗希や清宮幸太郎らのU18時代など。数年後にはお宝映像となるに違いない。

 三木さん自身は東京五輪はもちろんのこと、来年21年3月の第5回WBCへの意欲も示す。「その後は後世への育成かなという気はします」とも。「放送ありきで考えていてはダメだと思う。記録として残すメリット。そしてジャパンを見て喜んでくれる人がいるということを、選手側やチームに理解してもらうということを続けないといけない」と語気を強めた。

 そして育成やシステム作りだけではない、職人の顔へと表情を変えた。「私自身、もうちょっと踏み込めるんじゃないか、という思いがある。食事会で回さないなど、遠慮というか気を使ったところも。もう半歩、一歩。次はいこうと思います」。侍のカメラを止めるな―。使命も胸に、三木さんは今日もカメラを回し続ける。

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「野村克也」特集記事

2020年2月14日のニュース