【内田雅也の追球】「贈る言葉」に込めた決意――甲子園球場で初の成人式 阪神・矢野監督「チャレンジを」

[ 2020年1月14日 08:00 ]

甲子園球場で行われた西宮市の成人式で、スタンドからジェット風船を飛ばす新成人たち(撮影・後藤 正志)
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 作家・伊集院静は毎年、新成人と新社会人に文章を寄せる。サントリースピリッツの新聞広告で2000年以降、成人の日と4月1日に掲載される。いつも注目して読んでいる。

 13日も新成人に向け、<ワクをハミ出せ、二十歳の可能性。>と題して載っていた。<いつか空だって飛ぶかもしれないぜ。飛べない? なぜだよ。やってみなければわからない。>

 来月70歳となる作家が20歳の若者に「やってみろ」と挑戦を勧めているわけだ。同じ「贈る言葉」を甲子園で聞いた。

 兵庫県西宮市の成人式「二十歳を祝うつどい」が初めて甲子園球場で開かれた。1995年以降、鳴尾浜の兵庫県立総合体育館で開催していたが、客席数が約2300と手狭だった。交通の便もよく、十分な観客席もある甲子園球場と交渉し、使用が認められた。

 今回の新成人は1999年4月2日―2000年4月1日生まれの約5300人。うち3679人が参加し、バックネット裏スタンドに座った。

 青空が広がる好天。冬には珍しく右翼から左翼へと浜風が吹いた。サイレンで始まった式典は市長・石井登志郎の式辞から来賓の祝辞と続いた。

 司会者が「甲子園にゆかりのある方からメッセージが届いています」と紹介し、大型ビジョンに阪神監督・矢野燿大が映ると歓声が沸いた。

 「輝く未来をお祝いします」とビデオメッセージで語りかけた。米国で70歳以上の人々の90%以上が「もっとチャレンジしておけば良かった」と後悔しているという調査結果を披露した。「もっと冒険しておけば……」「あそこで告白していれば……」というわけだ。

 「皆さんも一歩、いや半歩でも踏み出してください。どんどんチャレンジしていくことが大切だと思います。ぼくも阪神タイガースの監督として前を向いてチャレンジしていこうと思います」

 やはり、挑戦である。昨年12月で51歳になった矢野も20歳に負けぬ気概を持つ。画面から決意がにじみ出ていた。

 式典終了直後には実行委員会が音頭をとり、阪神ラッキーセブン名物のジェット風船を空に放った。銀傘に、青空に舞う五色は、挑戦と可能性に輝いていた。=敬称略=(編集委員)

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