イチロー氏「めちゃくちゃ楽しい」 草野球デビューで16奪三振完封!

[ 2019年12月2日 05:30 ]

草野球デビュー戦で力投するイチロー氏(撮影・北條 貴史)
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 マリナーズなどで活躍し、3月に現役引退したイチロー氏(46=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が結成した草野球チーム「KOBE CHIBEN」が1日、智弁和歌山の教職員チーム「和歌山智弁」と対戦した。イチロー氏は愛工大名電以来となる背番号1をつけ「9番・投手」で先発フル出場。投げては9回で16三振を奪い完封、打っては3安打1打点。オリックス時代の本拠ほっともっとフィールド神戸で躍動した。

 9回2死一塁、131球目。イチロー氏は外角直球で16個目の三振となる見逃し三振を奪うと、飛び切りの笑顔で勝利を喜んだ。
 「(左)ふくらはぎがピクピクしているけど肩、肘は全く問題ない。まだまだいけます。めちゃくちゃ楽しかった。またやりたい」

 「9番・投手」。草野球でエースを意味する背番号「1」をつけたデビュー戦。相手は野球未経験者も含まれる智弁和歌山教職員チームだが、ノーワインドアップから投げ込む表情、何より130キロを超えていたとみられる直球の球威が真剣さを物語っていた。6安打を浴び「普通に打たれた。わざとじゃない」。9回の全18球は捕手のサインに首を振り、全て直球だった。9回無失点、16奪三振の完封劇だった。

 もちろん日米通算4367安打した本職でも魅せた。4回は一塁強襲の打球が右前を転々とする間に快足を飛ばし三塁へ。7回は二塁内野安打、8回は右前にライナーで運んだ。智弁和歌山のチャンステーマ「ジョックロック」が響く中、慣れない軟式球で3安打1打点と貫禄を見せた。

 チーム名は「KOBE CHIBEN」。昨年11月、自主トレ拠点のほっと神戸で行われた近畿大会、智弁和歌山―明石商戦を観戦し、ブラスバンドを中心とした応援に感銘を受けたことが始まり。現役引退後には生徒が送ってくれた演奏CDを聴きながらベッドで涙したこともあった。イチロー氏がデザインした鈴木の「す」を入れ込んだロゴやチーム名に漢字を使わないのは敬意の表れ。同校の藤田清司理事長(65)も「(イチロー氏が)僕の夢がかないましたと言ってくれた」と感慨の表情だった。

 試合後には30分以上かけて応援やブラスバンドに携わった同校関係者全員と握手をして感謝を伝えた。

 草野球チームをつくって日本一になりたい――。
 イチロー氏の新たな夢がスタートを切った。 (柳原 直之)

 ≪相手和歌山智弁 大敗も感謝感激≫智弁和歌山中高の教職員約20人で結成した「和歌山智弁」は3回先頭で「7番・捕手」で出場した中学社会科教諭の玉置勇人氏(31)が右中間二塁打を放つなど、計6安打を放った。「イチローさんが打席に入るルーティンをされていた時“見たことありますか?”と聞かれて感激しました」と玉置氏。背番号「51」をつけ、監督兼「4番・DH」で出場した藤田理事長はイチロー氏と「またやりましょう」と声を掛け合い「あの球は草野球の人間には打てない。うちのチーム全員が世界のイチローさんと出会ったことが思い出」と語った。

 ≪愛工大名電時代のイチロー氏と背番号1≫イチロー氏が背番号1を背負うのは愛工大名電3年夏以来。公式戦では91年7月31日、愛知県大会決勝で東邦に0―7で敗れて以来、28年、1万350日ぶりとなった。この試合ではイチロー氏は「3番・左翼」で出場。3打数無安打で、8回からはマウンドに上がり2イニングを1安打無失点だった。愛工大名電では2年夏に左翼手として、3年春はエース投手として2度甲子園に出場。ともに初戦敗退だった。高校通算では536打数269安打で打率.502、19本塁打と高い数字を残した。

 

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