19年のMLBを象徴する一戦だったア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦

[ 2019年10月26日 10:30 ]

ア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦に先発したアストロズ・ピーコック(AP)
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 アストロズとヤンキースが争ったア・リーグ優勝決定シリーズは、4勝2敗でア軍が制してワールドシリーズへ進んだ。雌雄を決した第6戦は、9回にヤ軍がラメーヒューの起死回生の2ランが飛び出し同点。その裏、アルテューベがサヨナラ2ランを放つという劇的な展開で幕を下ろした。ドラマチックな結末にばかり目がいきがちだが、この試合は始まりも特異的なものだった。両軍とも中継ぎ投手が先発し、ポストシーズン史上まれな「ブルペンデー」として、決着が懸かった一戦が行われたからだ。

 雨天中止を挟んだ関係で、ニューヨークでの第5戦と、ヒューストンでの第6戦は移動日なし。18日の第5戦が終わっても、両軍とも先発投手は発表できず。当日の昼過ぎになり、ようやくア軍ピーコック、ヤ軍グリーンと公表された。

 「両軍とも2桁近い投手が投げる試合になるんだろうね。ワールドシリーズ出場を決めようかという試合に。これも2019年の野球だよね」

 会見でア軍のA・J・ヒンチ監督はそう話した。9回で決着した試合だが、実際に両軍とも7投手ずつ、計14投手が登板した。そもそもピーコックは前夜敵地で行われた第5戦の8回に救援登板し、1イニングを無失点に抑えていた。そこから連投での先発。ポストシーズンで前日の試合を最後まで投げ、連投で翌日に先発したのは4人目だが、過去3人は1906年のドク・ホワイト(ホワイトソックス)、1910年のモーデカイ・ブラウン、1924年のフィリポ・マーベリー(セネターズ)で、実に95年ぶりの出来事でもあった。

 昨季レイズが導入した「オープナー」は戦略の一つとなり、今季はさらに多くのチームが用いた。先発適正のある2番手につなぐオープナーと、ブルペンデーでは厳密には意味合いが異なるが、今季定着した点は同じ。ヤ軍先発グリーンは1回、ピーコックは1回2/3で降り、両軍中継ぎ投手がめまぐるしく交代する展開となった。

 ヒンチ監督の言葉を借りるでもなく、まさに19年のメジャーリーグを象徴する一戦とも言えた。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2019年10月26日のニュース