阪神 原口、驚速1軍復帰 がん公表から131日目「精いっぱい頑張る」

[ 2019年6月4日 05:30 ]

1軍に昇格し、意気込みを語る阪神・原口(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 15年目を迎える「日本生命セ・パ交流戦」が、4日にパ・リーグの本拠地6球場で開幕する。ロッテと対戦する阪神は大腸がんの手術から復活した原口文仁捕手(27)が千葉に合流。出場選手登録される見込みで「たくさんの野球ファンの方々に支えられてここまで来れた」と感謝を述べ、「結果を残すことに集中したい」と意気込んだ。

 自身のツイッターで大腸がんを公表してから131日目の6月4日。不屈の男がついに1軍に帰ってくる。この日に千葉入りした原口は、感謝と決意を言葉に変えた。

 「来たな、と。いまは緊張が一番です。公表した時からたくさんのメッセージ、ファンレター、千羽鶴だったり、励ましをたくさんいただいた。これからは僕が、1軍にいるだけではダメだと思いますし、結果を残して、活躍して、メディアの皆様を通じて“頑張っているぞ”と伝えていただいて、同じ病気の方々や他の病気で頑張っている人たちに少しでも励みになればと思って、精いっぱい頑張りたいと思います」

 時折見せる笑顔のなかに、強い闘争心がにじんで見えた。5月8日のウエスタン・リーグ中日戦で実戦復帰してから1カ月もたたない1軍復帰。ほとんどの人が抱いているであろう「早い」という感覚と、原口の感覚は実は少し違った。

 「病院のベットで寝ていた時は“もっと最速で”という気持ちでいましたけど、なかなかやっぱり、復帰してからの体の状況とか、打撃や守備の実戦感覚というモノが追いつかない部分があった。その中でたくさん試合に出させてもらって、今日を迎えられた」

 ブランクを埋めるための試行錯誤の日々の苦しみは想像に難くない。チームのバックアップを受けながら1つ1つのプレーに思考を張り巡らせ、ほんのわずかな感覚のズレと戦ってきた。前日2日の同ソフトバンク戦で場外弾を放つなど結果を重ね、ついに、1軍舞台にたどり着いた。

 「チームの状況がすごく良い中での合流で、割って入る隙がなかなかないくらい、皆さん活躍している。まずは自分が出場した時に、1打席、1球に集中して結果を出していくことが、先につながると思うので」

 他人では計り知れない苦悩を乗り越えてきた姿は、虎党をはじめとする野球ファンだけでなく、全ての人の心を震えさせる。「野球ができることに感謝して、楽しんで。(感情が)表に出なくても、自分の中では楽しんでいきたいと思っています」。野球人の本質である『野球を楽しむ』。その喜びを全身で表現する原口を、ついに1軍で見られる。(巻木 周平)

 【原口の大腸がん経過】
 ▽1月24日 大腸がんを患っていることをツイッターで公表。
 ▽1月31日 ツイッターを更新し「先日、無事に手術終えました」と報告。
 ▽2月6日 ツイッターで「先日、退院しました。これからリハビリを始めていきます」と経過を報告。
 ▽3月7日 甲子園を訪れチームにあいさつ。その後、鳴尾浜でトレーニング。
 ▽4月16日 術後初の屋外フリー打撃で80スイング。
 ▽5月8日 ウエスタン・中日戦(鳴尾浜)で実戦復帰。8回に代打で右飛。
 ▽6月2日 ウエスタン・ソフトバンク戦(丹波)に「4番・DH」で先発。3回に左翼場外へ1号3ラン。

続きを表示

2019年6月4日のニュース