阪神の旋風に必要なトルネード

[ 2019年5月13日 08:45 ]

セ・リーグ   阪神2―5中日 ( 2019年5月12日    甲子園 )

<神・中>9回1死、近本は左前打を放つ(撮影・坂田 高浩)
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 「母の日」の阪神のデーゲームは完敗だった。ただ最終回に、光明を見いだすことはできた。それは12打席ぶりに電光掲示板に「H」を灯した近本だ。

 本日は1メートル70、72キロと小柄な近本に備わる、パワーの源について書きたい。大きく右足を上げる一本足打法を初めて見た時から、投手の投球フォームのようだと感じていた。投手も踏み出す足を大きく上げて軸足側にタメを作り、その力を上半身に伝えて投げる。近本は打席内でも「投手式」の下半身の使い方をしてバットに力を伝えているから小柄でも力強い打球を飛ばせるのでは…と、以前から推量していた。

 現に近本は元投手で、関学大3年から野手転向し、今に至る。あの体格で名門大から声が掛かったということは、投手としても、限られた体の力を高い割合でボールに伝える術にたけていたのだろう。その体の使い方を打撃に応用していると考え、この日の練習後に清水ヘッドコーチに取材を掛けると「プロの見解」を聞くことができた。

 「たとえば近本は大きく右足を上げて踏み込みますが、常に着地点が同じです。正直、そんな打者は初めて見ましたね。彼にとって、うまく腰が回る位置だから、同じところで着地するのでしょう。投手も踏み出す足の着地点は常に同じです。そう考えると投手の動きですよね。私も体の使い方に関しては、投げることと打つことは同じと考えています。しっかり軸足にタメを作って力を伝えるのは同じですから」

 そう話した清水ヘッドはさらに続けた。「近本は打席内で、まるで野茂のトルネード投法をしているみたいでしょう。体を大きくひねって軸足側の腰にタメを作る。それができる筋力も持っていて、その力をバットに伝えられるから強い打球を打てるんだと思います」。推論は補強できた。大学2年までの「投手・近本」が、今の「打者・近本」を形成する一要素と考えられるわけだ。

 ただし体全体を使えて「しまう」からこそ、負担も大きいのかもしれない。1週間前に背中の張りを訴えて以降、打ち損じが目に付く。14打数2安打と不振に終わった今カードは、チームも6カードぶりに負け越した。新人に勝敗を背負わせたくはないが、矢野阪神がセ界に旋風を巻き起こすには、試合の流れを変える一打が打てる「虎のトルネード」の力が必要であることも事実。だから9回のクリーンヒットは、輝きを帯びて見えた。(前トラ番キャップ・惟任貴信)

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