創志学園 野山さん 震災直後の選手宣誓で学んだ言葉の大切さ

[ 2019年3月27日 10:30 ]

当時の創志学園・野山主将

 【平成センバツヒーロー あいつ今何してる? 4】甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生からわずか12日。2011年(平23)に創部2年目で初出場を果たした創志学園(岡山)の2年生主将だった野山慎介さん(24)は選手宣誓で語りかけるように話した。当時16歳だった球児の“被災地への思い”は、被災者から「弱っていた気持ちにカツが入った」という手紙が学校に届くなど大きな反響を呼んだ。

 「発生当初は人ごとの部分が正直あった。でも大役を担って被災地のことを少しでも理解しようとして、少しでも気持ちを、思いを届けたいと。1000回くらい練習したかな」

 ただ、満点以上の宣誓がその後は重荷になったという。「力量以上に評価、認知度が上がり、宣誓の野山に野球人野山が追いつかず、結果的に追いつけなかった」。高校3年間で主将を務めたが、以降は甲子園出場なし。東海大でも4年時に副主将を務めたがリーグ戦はおろか、一度もAチーム(1軍)に入ることもできなかった。

 現在は岡山に戻り、両備ホールディングス株式会社の両備バスカンパニー観光事業本部岡山観光センターで旅行の企画、売り込みなど営業活動に従事している。「あの宣誓で言葉の大切さ、話し方、言葉一つで人に影響を与える、(思いを)感じとってもらえることを勉強させてもらった。営業トークには生きていませんが…」

 あれから8年。「一年に何度かチェックしているんで」。今も全文を覚えている。(吉村 貢司)

 ◆野山 慎介(のやま・しんすけ)1994年(平6)7月25日生まれ、岡山県和気町出身の24歳。創志学園では1年春から主将を務め2年春に甲子園出場。1回戦・北海戦では「1番遊撃」で出場し3打数1安打。試合は1―2で惜敗した。東海大卒。

 宣誓。私たちは16年前、阪神・淡路大震災の年に生まれました。今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。人は、仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができると信じています。私たちに今できること。それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。がんばろう!日本。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

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