投手・大谷が完全復活するためには何が必要か

[ 2017年9月7日 09:30 ]

笑顔で練習する大谷
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 改めてポテンシャルの高さを感じると同時に、不安が拭えなかった。二刀流の日本ハム・大谷のことだ。8月31日のソフトバンク戦で投手復帰。今季初登板だった7月12日のオリックス戦のときに比べれば、力強さは出てきた。直球の最速も158キロから2キロアップの160キロ。前回同様に2軍での調整登板をしなくても、3回まで無安打に抑えるのだから、やはり凄い。

 ただ、大谷本人が「今日はただ投げている感じだった」と振り返ったように、実戦不足は明らか。制球力やスタミナ、そして打者との駆け引き。これは実戦でしか養われない。4回、柳田に先制打を浴びると、一気に崩れた。柳田には160キロを打たれ「いまいちグッとくるものがなかった」と漏らしていた。

 大谷の言う「グッとくる」ためには、何か必要か。軸足となる右足の強い蹴りだろう。投げる際、左足を上げ、フィニッシュに向けて体重移動していくときに、右足はマウンドを蹴る。足の裏が天井を向くぐらいの強い蹴りがあれば、威力のある球が投げられる。その蹴りがまだ弱い。スピードは出ていても、昨季までのような威力は感じられない。大谷の右足の蹴りは年々強くなっていた。プロ野球最速の165キロを叩き出した昨季は大きくはね上がっている。強い蹴りは、復活へのバロメータと言える。

 ただ、今季中に強い蹴りが見られるのかは疑問である。右足首に「爆弾」を抱えているためだ。三角骨にできた骨棘(こっきょく)による炎症。昨年10月に痛め、今年3月のWBCに出場できなくなった。骨に当たる部分を削る手術を受ければ、痛みは消える。全治は2〜3カ月。開幕前までは手術を検討していたものの、二刀流として「打者・大谷」の存在が影響したこともあり、手術はしなかった。日々の治療で回復しているとはいえ、右足首の不安が完全に拭えたわけではない。

 今オフ、ポスティングシステムでメジャーに移籍する可能性は高い。8月31日の登板ではメジャー14球団、計22人の編成担当が集結し、さながら「品評会」となっていた。日本よりもレベルの高いメジャーで投げるためには、手術は避けて通れないだろう。シーズンオフにすれば、開幕には十分間に合う。(野球コラム・飯塚 荒太)

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2017年9月7日のニュース