菅野セ界一番乗り完封 “地方の鬼”9戦7勝1敗「熊本が大好きに」

[ 2017年4月19日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人3―0ヤクルト ( 2017年4月18日    熊本 )

<巨・ヤ>完封勝利した菅野は捕手・小林(右)と肩を組む
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 地方の鬼だ!巨人・菅野智之投手(27)が18日、ヤクルト戦に先発し、9回3安打で今季初完封の2勝目を飾った。セ・リーグでは今季完封一番乗りで、自身5度目。プロ5年目で初めての熊本登板だったが、地方球場は相性良く、これで通算7勝1敗とした。11年ぶりの熊本で白星をもぎ取ったチームは5連敗した後に3連勝。首位・広島と3ゲーム差の3位だが、ここから再浮上を狙っていく。

 左翼に大きくせり出した天然記念物のクスノキがある。藤崎台県営野球場のシンボルだ。昨年4月の熊本地震で外壁は崩れたが、木の幹はびくともしなかった。3―0の9回2死から連打を浴びて一、三塁。投手陣の幹、エース菅野はマウンドにどっしり根を下ろした。

 「丁寧にコーナーをついていこうと思い、0点になった。低め低めといった結果」。最後の打者、雄平を中飛に打ち取り、今季セ・リーグ一番乗りの「完封劇」を完成させた。前回登板11日の広島戦(東京ドーム)は6回途中5失点だっただけに「ホッとしている。ケジメをつけられたのは良かった」と喜んだ。

 ヤクルト打線を3安打に封じ、球数は117球。自身5度目の完封は16年4月13日ヤクルト戦(神宮)以来、約1年ぶりで「最後までマウンドを守れてうれしい」と笑顔を見せた。地震直後の昨年4月、先発予定だった同地での巨人―中日戦が中止。それから熊本のファンにとっては初めてのプロ野球公式戦で、夢の2時間39分となった。

 この日が自身20球場目のマウンドだった。地方球場では通算9試合で7勝1敗で防御率1・75と無類の強さを誇る。球場に着くと練習前に、まずはマウンドに直行。何度も歩幅を確認して状態を確認した。強い下半身が制球力を支える。スタンスを大きく取り、腰を落として投げるため、地方特有の低く軟らかいマウンドにも対応できる。お立ち台では「熊本に来ること自体初めてだったが、熊本が大好きになりました」と声を上げた。まさに「地方の鬼」だ。

 「鬼将軍」と呼ばれたのは戦国武将・加藤清正。その鬼将軍が築城した熊本城のそば、熊本城公園内に球場はある。西郷隆盛が3倍の兵力で攻めても落とせなかった「難攻不落」の城のそばで、菅野が8回まで内野安打1本に抑え、「1番・山田」も4打数無安打に封じた。地震で甚大な被害を受けた天守閣は現在も復旧作業が進んでいる。

 「難攻不落」のエースが、チームを3連勝に導いた。5連敗で失った貯金も再び3とした。チームでの完投も一番乗りだ。高橋監督は「エースらしく、こちらが(継投を)考えることなく投げきってくれた」と評した。

 打撃でも2安打を放った。「ピッチングだけでなく、今年は打撃にも注目してください」と沸かせた菅野は「来週の広島に真っ向からぶつかっていきたい」と続けた。次なる登板では、首位の敵陣に乗り込んでいく。 (神田 佑)

 ≪3安打は完封試合での最少被安打≫菅野(巨)が3安打完封勝利。自身完封勝利は昨年4月13日ヤクルト戦以来通算5度目。被安打3本は15年5月19日阪神戦、前記ヤクルト戦での4安打を下回る完封試合での最少被安打になった。熊本は初登板だが、地方球場は9球場目。13年5月11日新潟で初勝利を挙げてから地方球場で7勝1敗、防御率1・75と抜群の成績を残している。

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