WBCで“世紀の誤審”を体験 西武・辻監督 想定外でも腹をくくれ

[ 2017年2月7日 10:30 ]

歴代侍の金言 西武・辻発彦監督

06年WBCで王監督(左)と話す辻コーチ(AP)
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 06年WBCで、西武・辻監督は内野守備走塁コーチとして国際試合の怖さを体感した。2次ラウンド初戦の米国戦。「世紀の誤審」と波紋を呼んだ判定の瞬間、三塁コーチスボックスでぼうぜんと立ち尽くしていた。

 「あんな経験は初めて。少し浅い打球だったが左翼手の肩は弱い。タイミングは楽勝でセーフだった。それなのに判定が覆って…。信じられなかった」

 3―3の8回1死満塁。岩村の左飛で三塁走者・西岡がタッチアップで本塁生還した。だが、米国は西岡の離塁が早かったとアピール。二塁塁審は認めなかったが、バック・マルティネス監督の再度の抗議でボブ・デービッドソン球審は「アウト」と判定を覆した。勝ち越しが一転、併殺完成で無得点。揚げ句、サヨナラで敗れた。

 目を疑うような出来事。それは、今大会でももちろん起こり得る。乗り越えるための処方箋は何なのか。「いろんなことが起きる中で、消極的にならないこと。腹をくくってやるしかない。能力があり、試合の流れ、空気を読める選手が集まるのが代表チーム。自信を持って戦えばいい」

 2次ラウンド3戦目の韓国戦にも敗れたが、米国がメキシコに敗れたため、失点率(9回当たりの失点)で準決勝進出が決定。逆風が止まった。1次ラウンドと合わせて3敗を喫しながらも立った世界一。初代王者にはタフな精神力があった。

 三塁コーチは得点、そして勝利をもたらす分水嶺(れい)に立っている。「チームに勢いを感じたら、迷わず回そうと思っていた」。自らの心掛けも、やはり「腹をくくる」ことだった。 (平尾 類)

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