真中監督 ドラ1寺島は「いい意味で石井一」初ブルペンでゆったり

[ 2017年2月7日 05:55 ]

ブルペン投球を終えた寺島(左)は真中監督と引き揚げる
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 ヤクルトのドラフト1位・寺島成輝投手(18=履正社)と同2位の星知弥投手(22=明大)が6日、ブルペン入りした。球団の育成方針で、ともに自主トレから一度も投球練習をしてこなかった。捕手を立たせたまま、直球のみ30球を披露。他球団のスコアラーや報道陣が集結した中で淡々と投げる寺島の姿に、真中満監督(46)は球団OBの石井一久氏(43=スポニチ本紙評論家)を重ね合わせた。

 寺島だけが別世界にいるようだった。ブルペン脇にできた人垣に動じない。時折、笑顔すらのぞかせる。約3カ月ぶりに上がったマウンドの感触を確かめながら、ひょうひょうと投げ続けた。

 「楽しかった。キャッチャーの方が凄く声を出してくれて、盛り上がっていけた。(人の多さは)何も感じない。何も感じませんでした」

 特徴は「昔から、ずっと」という力感のないフォーム。意識するのは「無駄のない動き。できるだけシンプルにする」こと。静かに動きだし、スッと左腕を振ると、切れのあるボールが放たれた。騒がしい周囲に左右されることはない。「立ち投げだったので、コースより(球の)回転を意識した」。捕手が立ったまま直球30球を投げた。

 寺島フィーバーに沸いた。約60人の報道陣がウオーミングアップから左腕を追い、スコアラーや編成担当など6球団13人が集結した。「注目度はさすが。今日は人が多かった」と球団関係者。通常は球団関係者や評論家以外には開放しない捕手の後方エリアを、一時的に撮影用に開放し、10人のカメラマンが並んだ。

 並の新人なら緊張で力むが、ラスト10球はセットポジションから投げるなど目的をもってこなした。18歳とは思えない落ち着きぶりだ。見ていた真中監督は、堂々とした振る舞いに「いい意味で石井一久。ふてぶてしいというか、人を食っているような感じがね」と、ヤクルトで現役時代が重なる日米通算182勝左腕の名を例示した。

 1月の入寮時、今年のテーマを「冷」と定めた。「初めてのことが多くて少し熱くなってしまう部分もあると思うけど、そこを冷静でいられるようにしたい」。プロ初のブルペンでそれを体現した、背番号18を与えられたエース候補。育成方針から実戦デビューはキャンプ後の3月が予定される。「大物」の次のステップが待ち遠しい。 (川手 達矢)

 ▼石井一久氏 周りを気にしない「鈍感力」というのは、投手には大事な要素だと思います。繊細なことは捕手が考えてくれるので。一流投手の一番の条件は体の強さ。まずはケガをしない体をつくること。ヤクルトは本格派の左腕があまり出てこないので、寺島君には頑張ってほしいですね。ところで「いい意味で、石井一久みたい」とはどういうことか、今度、キャンプで真中さんにじっくり聞いてみます。

 ▼阪神・嶋田宗彦スコアラー 投げ方を知っている。球筋がきれい。順調にいけば先発ローテーションに入ってくると思う。

 ▼中日・善村一仁スコアラー 体の使い方がうまい。キャッチボールよりブルペンの方がバランスが良かった。

 ▼巨人・横川史学スコアラー 体が大きい。マウンドでも大きくみえる。

 ▼石井投手コーチ コーチをやってから高校生投手も何人か入っているが、その中でも1、2位に来る選手。

 ▼小山田ブルペン捕手 手元でビュッと来る。球速以上に速く見えると思う。

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