大谷、右腕封印 握手もキャッチボールも…疲労回復「徹底」

[ 2016年11月22日 05:30 ]

ナウマン象の復元像を横に笑顔を見せる市川(左)と大谷
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 日本ハム・大谷翔平投手(22)が21日、応援大使を務める北海道幕別町を訪問した。市川友也捕手(31)とともに小学校を訪れ、腕相撲やキャッチボールなどで交流したが、利き手の右手は一切使わない徹底ぶり。疲労回復に加え、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、今月いっぱいは右手を封印する考えを示した。全てはその右手で「世界一」をつかみ取るためだ。

 スーパースターの登場に沸いたはずの幕別小学校の子供たちが、キョトンとした表情を浮かべた。司会者が「大谷選手は右手をケガしているので、今日は投げられません。ごめんなさい」と頭を下げると、大谷は苦笑いを浮かべた。

 「あれは大げさに言ってましたね」とイタズラっぽく笑ったように、もちろん、ケガはしていない。ただ、子供たちとの腕相撲勝負では左手を使い、軟式球でのキャッチボールでは上から投げることなく下からワンバウンドで返球した。見送りのハイタッチも全て左手で応える徹底ぶりで、利き手の右手を封印した。「軽くとはいえ、重さの違うボールを投げる。徹底するところは徹底した方がいいのかな」。現在、シーズンの疲労を取るために、ノースローを貫き、極力バットも握っていない。徹底した体調管理で周囲を驚かせた。

 なぜここまでするのか。大谷は「例年より早く大会があって時間がないと思っている」と言う。大会とは来年3月のWBC。「練習を効率よく進めていく過程で2、3週間休んだ方がしっかりトレーニングに入れるし、しっかり打ったり投げたりできる」。12月初旬まではノースローを継続し筋力トレーニングなどフィジカル中心のメニューを組む。体づくりと並行して実戦練習、そしてWBC使用球の対応へと移行する。この日、2年連続で札幌ドームMVP(賞金100万円)を受賞した大谷には世界一の投手になるための道筋がはっきりと見えている。

 それでも、小学校訪問後に行われた町民を集めて行われたトークショーでは、22歳の青年らしく盛り上げた。質問コーナーで「好きな女性のタイプ」について問われると「ハキハキして明るい人が良い。僕が大きいので背が大きい人」。さらに、「僕は末っ子なのでガツガツ引っ張るタイプではない。プレー(野球)でもそう。先輩についていくタイプ」と、年上女性を連想させる回答に会場は大いに沸いた。

 今から約50年前、ナウマン象の化石が発見された太古のロマンを秘めた町。どこに行っても大谷はスーパースターだ。 (柳原 直之)

 ▽幕別町 帯広市の東部に位置し、札幌から電車で約2時間20分。十勝総合振興局管内の中川郡に属する。由来はアイヌ語の「マクンベツ(山際を流れる川)」で、北部に十勝川が流れ、流域に平野が広がる。年間平均気温は4・9度だが、冬はマイナス30度まで冷え込むことも。農業が盛んで、テンサイや小麦、ゆり根が特産品。

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2016年11月22日のニュース