【福岡】九州国際大付 55年ぶり3連覇で7度目の聖地へ

[ 2016年7月31日 05:30 ]

<九州国際大付・福岡工大城東>3年連続7回目の優勝を飾り歓喜に沸く九州国際大付ナイン

第98回全国高校野球選手権九州大会決勝 九州国際大付4―3福岡工大城東

(7月30日 北九州市民)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の福岡大会は決勝が行われた。九州国際大付が福岡工大城東を4―3で振り切り、同大会の平成以降では初、59~61年の戸畑以来となる55年ぶりの3連覇を達成した。楠城徹監督(65)はチーム内で徹底した競争意識を植え付け、永岡大昇主将(ひろのり、3年)を中心に7度目の夏をつかんだ。

 緊迫感から解放された女房役は、誰彼かまわず抱き合った。4―3での2死一、二塁で最後の打者を遊直に仕留めると永岡捕手はマスクを脱いでまずエース藤本海斗(3年)と熱い抱擁。マウンド上に仲間が駆け寄ると人さし指を突き上げながら何度もハグし続けた。
 「またみんなと野球ができると思うと“よーし”って叫んで(マウンドに)走ってました。秋、春と悔しい思いをしての3連覇は大きいです。ここまできつかった…」。

 勝てば55年ぶりの快挙達成となることは当然、知っていた。重圧のかかる決勝戦でまずは自らのバットで楽にした。0―0での2回1死二塁で右中間に先制の適時三塁打。これでチームは勢いづくと4回にも2点追加。8回に1点差にまで迫られたが「落ち着いて行こうや」と味方への声かけ。接戦で頼もしかった。

 西武などで主に捕手として活躍した楠城監督が就任した14年に入学したのが永岡ら現3年生。2年連続で夏を知っているが新チームとなった秋の県大会は5回戦敗退で春は4回戦敗退。さらに昨夏の4番で3本塁打を記録した山本武白志(現DeNA内野手)ら注目選手も不在で前評判も高くなかった。そんな中、指揮官は「心を揺さぶる」をテーマに夏直前までベンチ入り選手を一切、固定せずに入れ替えを続け、競争を激化させることでチーム力を上げた。

 昨秋、全69部員に「みんなにチャンスを与える」「結果を出せない、サボるやつは落とす」「レギュラー確定者はいない」と伝え、25人編成のAチームと残りのB(2軍)に分け、練習から緊張感と集中力を持たせた。降格宣告は監督自らが行い、主将に指名した永岡ですら昨冬と今春にBに落とした。Aに戻したと思えば捕手としてのノウハウを叩き込み、永岡は「緊張と怒られすぎて一時期、野球するのがトラウマだった」。広島から越境入学した永岡は実家に泣きの電話を入れたこともあったが、その後、チームの柱として強くなった。

 「競争をあおってきたし、常に追い込まれているから試合、練習で結果が出る。人選だけは自信はありますから。夏のメンバーも落とす選手は決めています」。3連覇を決めても指揮官の一言でピリッとした空気が流れた。永岡主将が「昨年の先輩たちの8強、その先を狙っていく」と言う横で、楠城監督の眼鏡は西日でピカッと光った。今年の九州国際大付は、いい感じに締まっている。(井上 満夫)

 ▼楽天三好(11年度卒) おめでとうございます。自分の時(3年夏)は初戦でサヨナラ負けだったので、優勝を目指してほしいです。自分も後輩たちに負けないようにしっかり頑張ります。

 ▼日本ハム清水(14年度卒) 甲子園に出ることが大事だったと思う。優勝目指して全力プレーをしてほしい。

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2016年7月31日のニュース