福留 史上最年長39歳サイクル 2球団で達成は初「駄目かなと」

[ 2016年7月31日 05:45 ]

<神・中>6回二死満塁、福留は左越えに二塁打を放ち、サイクル安打を達成。花束を手にスタンドのファンに応える

セ・リーグ 阪神8―2中日

(7月30日 甲子園)
 強い浜風。今季最多4万6803人の観衆の声援も後押ししてくれた。6回2死満塁の第4打席。阪神・福留は中日時代に同僚だった山井のカーブを捉えた。打球は左翼手・工藤の頭上をわずかに越えた。走者一掃の二塁打。古巣を相手にサイクル安打を達成した。

 「たぶん、“持ってない”から駄目かなと。捕られるかなと思ったけど、抜けてくれてよかった。(追い)風にも助けられた。何かのご褒美。たまにはあるんだな」。古巣時代の03年6月8日広島戦(ナゴヤドーム)以来で、史上4人目となる2度目のサイクル安打。それも史上最年長の39歳3カ月で成し遂げ、2球団での達成も初めてだ。

 始まりは今季、本拠の甲子園で放った初本塁打だった。2回先頭で吉見から先制の右越え5号ソロ。勢いに乗った。4回の第2打席は中前打。5回の第3打席でも右中間に適時三塁打を放ち、6回の第4打席で一気に決めた。大差がつき、お役御免でもよかったが、金本監督に言われた。「お客さまにちゃんとありがとうとあいさつしてこい」。粋な計らい。7回、右翼の守備に就くと、「福留コール」に帽子を取って深々と頭を下げ、8回の守備から退いた。

 1度目のサイクル安打は26歳だった。あれから13年。39歳になっても、その打棒は衰えていない。今季は開幕から4番を任され、6月25日の広島戦(マツダ)で日米通算2000安打を達成した。休日など時間を見つけては礼状を書く日々。元同僚で敵将になった中日・谷繁監督にも祝福の電話をもらった。「まさか電話をいただけるとは思っていなかったのでビックリした」。2000安打達成試合は敗れた。新たな快挙を成し遂げた試合で快勝し、「何かを達成する時、勝つというのが大前提。その中で打つのはうれしさも倍」と心地よさそうだった。

 この日、今季の主催試合の観客動員が200万人を突破した。福留は少し照れた表情を浮かべながら、こう言った。「いいものを(阪神ファンに)たまたま見せられてよかった」。4打数4安打5打点の大活躍。チームを4位タイに浮上させた39歳の4番打者は、お立ち台で阪神ファンの大歓声を浴び続けた。(山添 晴治)

 ≪最年長サイクル≫福留(神)が20日の大島(中)以来、プロ野球69度目(64人)のサイクル安打を達成した。阪神では03年桧山以来13年ぶり5人目(6度目)になる。福留は中日時代の03年6月8日広島戦でも記録しており自身2度目。サイクル安打を複数回達成したのは95、97、99年ローズ(横浜)、48、50年藤村富美男(阪神)、82、91年松永浩美(阪急、オ)に次いで4人目。2球団でマークしたのは史上初めてだ。また、福留は現在39歳3カ月。これまでサイクル安打の最年長は83年山本浩二(広)の36歳6カ月。福留はこの記録を大幅に更新した。なお、同一リーグで月間2人のサイクル安打は7度目(セ4度、パ3度)。

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