今年No.1左腕だ!新潟医療福祉大の147キロ左腕・笠原

[ 2016年6月14日 08:10 ]

新潟医療福祉大・笠原

 近年のドラフトでは、地方大学リーグの選手が上位指名されるケースが多い。今秋ドラフトの目玉といえば、156キロ右腕の創価大・田中正義投手(21)の名前が真っ先に挙がるが、野球部創設4年目、新潟医療福祉大の笠原祥太郎投手(21)も候補の一人だ。高校時代は無名の存在から、わずか4年で一躍ドラフト戦線に躍り出るまでに成長した147キロ左腕。そんな、金の卵らが集まる侍ジャパン大学日本代表選考合宿は17日にスタートする。

 笠原の名前は、じわじわと中央球界に知れ渡っている。今春、ようやく全学年がそろったばかりの創部4年目、新潟医療福祉大と練習試合などで対戦した関東の強豪大学監督は、最速147キロ左腕を「今年のNo・1左腕」と口をそろえた。

 新潟医療福祉大は関甲新学生リーグの1部に昨秋、スピード昇格。今春リーグ戦は惜しくも優勝を逃したものの笠原は6勝無敗、防御率0・72。堂々の成績で侍ジャパン大学日本代表選考合宿メンバー入りを果たした。

 「正直、びっくりしました。選ばれるなんて思ってなかったから」とまるで“人ごと”のように感想を口にした左腕。新潟・新津で2年春からエースナンバーも夏は1回戦、3年夏は2回戦敗退。最速130キロ台半ばの平凡な投手は卒業後「地元で自宅から通える」と、野球部を立ち上げたばかりの新潟医療福祉大に一般入試で入学すると、素質が一気に開花した。

 佐藤和也監督は「入ってきた時はコントロールが全然駄目。経験もないので、すぐにひるんだりしていた」と当時を振り返る。だが、強化指定クラブとしての練習環境で体が大きくなった2年冬のトレーニングから、球速が一気に増した。1期生とあり入学直後から登板機会も多く、メンタル面でも大きく成長。リーグ戦で上位チームと対戦することで刺激も受けるようになった。1部初参戦となった昨秋は、73奪三振でリーグ記録を更新してスカウトの注目を浴びるようになると、プロを意識するようになり下半身を中心に強化。体重は入学時の74キロから85キロまで増量。球威も増したことで力でねじ伏せる投球ができるようになった。最速147キロとなった左腕に、新潟明訓を春夏通算8度の甲子園出場へ導いている佐藤監督も「トータルで練習してきた結果。でも、ここまでになるとは思っていなかった」と目を見張る。

 笠原は今回の代表候補の顔ぶれに「あのピッチャー陣では…。(代表に)入れればラッキー」と控えめだ。それでも、今回の日米大学野球の舞台には地元・新潟開催も含まれているとあって「地元の大会だし、投げてみたい」と意気込む。高校時代は全く無名の存在から今や国内だけでなく、メジャー球団のスカウトも熱視線を送る存在に成長した左腕。「トップレベルからいろいろと吸収できればと思っている。紅白戦もあると聞いているのでアピールしたい」。地方リーグから全国区、そして実りの秋へ。一気に駆け上がる。

 ◆笠原 祥太郎(かさはら・しょうたろう)1995年(平7)3月17日、新潟県生まれの21歳。小2から野球を始めて新津1年秋からベンチ入りで2年春からエース。新潟医療福祉大で野球部1期生。好きなプロ野球選手は「同じ左で、速い球に憧れている」という西武・菊池雄星。パワーの源は焼き肉。左投げ左打ち。1メートル77、85キロ。

 【笠原に対するスカウト評】
 ▼ソフトバンク・山本省吾スカウト 中1日になっても疲れのある中で、粘り強くゲームをつくりながら投げている印象。左の先発候補として非常に楽しみ。まっすぐが速く、タフで三振が取れる、実力のある選手だと思う。まだまだ伸びしろがあるし、伸びそうな期待値がある。

 ▼ロッテ・高橋薫スカウト 全体的にバランスもよく、ストレートとスライダーは良い。伸びしろもあり、もっと良くなるんじゃないかな。春はどの大学に対してもいい投球をしていた。

 ▼阪神・吉野誠スカウト まとまってていいんじゃないかと思う。左投手でスピードボールを投げられるのが魅力。見るだけの価値のある選手だと思う。

 ▼巨人・山下哲治スカウト部長 良い投手だと報告は受けている。代表候補合宿の時、どんな投手なのかじっくり見てみたい。

続きを表示

2016年6月14日のニュース