MLBに新たに生まれた「スウィフトの呪い」そしてマーフィーも…

[ 2015年11月3日 08:10 ]

ワールドシリーズ第5戦 ロイヤルズ戦の12回、オルランドのゴロを失策するメッツの二塁手マーフィー

 ワールドシリーズは、ロイヤルズの30年ぶりの世界一で幕を下ろした。大リーグは30球団あるので、いわば29球団が敗者。その敗戦の言い訳として、米国の野球ファンは「呪い」に結びつけるのが大好きだ。古くから有名なのは、レッドソックスが長らく勝てなかった「バンビーノ(ベーブ・ルース)の呪い」。今年も新たな「呪い」が生まれた。「テイラー・スウィフトの呪い」――。

 グラミー賞7度受賞の米国の歌姫が、ワールドツアーを行った球場を本拠とするチームは、その直後から成績が落ちるというもの。発端は、アストロズが昨年12月に、公演日を「プレーオフに進出した場合に重なってしまうから」との理由で、15年10月13日から9月9日に変更したこと。そこまで地区首位を走っていたが、9月9日以降、成績が急降下した。最終的にはワイルドカードの2位を確保したものの、当初の公演予定日(13日は移動日)の翌10月14日に地区シリーズで敗退し、終戦となった。

 開幕前に優勝候補に挙げられたナショナルズとパドレスも、スウィフトがそれぞれ7月と8月に球場でコンサートを行った直後から失速し、ポストシーズン出場を逃した。最後は川崎所属のブルージェイズで、22年ぶりの地区優勝を果たし、世界一も期待されていた。そんな中、スウィフトが10月2日に本拠ロジャーズ・センターで公演。最初の地区シリーズでは2連敗からの3連勝で何とか突破したが、続くリーグ優勝決定シリーズでロイヤルズに敗れた。ちなみに、スウィフトは5月に東京ドームでもコンサートを行っているが…。

 ワールドシリーズでも「呪い」にかかった男がいた。ポストシーズン新記録の6試合連続本塁打をマークし、一躍ニューヨークの英雄となったメッツのマーフィーが、ワールドシリーズでは打率・150で、第4、5戦では敗戦につながる致命的な失策を犯し、天国から地獄に突き落とされた。シリーズ開幕前、米国で最も権威のある雑誌「スポーツ・イラストレーテッド」の表紙を飾ったが、この表紙に登場すると、成績を落とすというのも有名なジンクスだ。

 1945年のワールドシリーズで、ヤギを連れた客の入場を断ったカブスは、リーグ優勝決定シリーズで、メッツのマーフィーの信じられない活躍の前に屈し、今年も「ヤギの呪い」を解くことができなかった。その時のヤギの名前は「マーフィー」だったことで話題になったが、そのマーフィーが今度は「スポーツ・イラストレーテッド」のジンクスに屈した。

 大リーグは100年以上の長い歴史があり、敗者が多ければ、呪いのストーリーも増える。単なるこじつけと思いつつも、「呪い」のせいにして盛り上がる。来年も新しい「呪い」が生まれるに違いない。(甘利 陽一)

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2015年11月3日のニュース