阿部 松井に並ぶ一発も…今季東京D初アーチに「遅すぎ」

[ 2014年5月9日 05:30 ]

<巨・D>3回2死一、二塁、阿部が右越えに3ランを放つ

セ・リーグ 巨人6―7DeNA

(5月8日 東京D)
 ついに憧れの先輩に肩を並べた。4点を追う3回2死一、二塁。巨人・阿部は加賀の137キロ直球を振り抜き、右翼席中段へ弾丸ライナーで突き刺した。通算332号。松井秀喜氏に並ぶ球団歴代4位の記念アーチだ。

 「インコースのストレートをうまくさばけた」。4月17日のヤクルト戦(神宮)以来、出場15試合ぶりの一発は「ちょっと遅すぎだね」という今季東京ドーム初アーチ。これで巨人の歴代本塁打で自身の上に名前があるのは、王貞治、長嶋茂雄両氏のONと、原監督だけ。阿部もレジェンドの領域に入ってきた。

 2月の宮崎キャンプ。臨時コーチを務めた松井氏、村田打撃コーチ、高橋由らと会食する機会があった。昔話を中心とする野球談議に花を咲かせながら、巨人の「4番」を長年背負ってきた松井氏や高橋由の重圧や責任を感じ取った。自身が偉大な先輩の背中を追いかけてきたように、今は小林、藤村ら若手選手が主将の姿を見ている。連日、若手に交じって早出特打を行い、背中でチームをけん引している。

 26日の広島戦(マツダ)で26打席連続無安打となり、自己ワーストを更新。同戦の前にあと1本で松井氏の記録に並ぶことを尋ねると「知らなかった」と驚いた表情を浮かべた。首や左ふくらはぎに痛みを抱え、満身創痍(そうい)の状態が続く。記録に興味を向ける余裕はなく、必死に復調の糸口を探っていた。

 この日の試合前には、橋上打撃コーチから助言を受け、寝かせていたバットをより立たせる構えに修正した。2回無死一塁は右中間二塁打。1点を追う5回無死満塁では左前へ2点適時打を放ち、今季2度目の猛打賞で12年8月4日のDeNA戦(横浜)以来となる5打点を叩き出した。

 しかし、空砲に終わった。最下位・DeNAに痛い逆転負け。松井氏に並んだことを聞かれた阿部は「それを目標にしていた訳じゃないから、どうでもいい」と厳しい表情で球場を後にしたが、原監督は「らしさが出てきましたね」とうなずいた。阿部が本来の姿を取り戻しつつあることは、チームにとって何よりの収穫だ。

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