大瀬良153キロ“プロデビュー”「即戦力」違わぬ好投

[ 2013年11月10日 06:00 ]

<日本・台湾>6回2死一、三塁、陳俊秀を三振に打ち取り叫ぶ大瀬良

侍ジャパン強化試合 日本代表4―2台湾代表

(11月9日 台湾・新荘球場)
 アマ右腕の快投で、小久保ジャパンが連勝を飾った。侍ジャパンは9日、台湾代表との強化試合第2戦を行い、2回に秋山翔吾外野手(25)の2点適時打など5連打で4点を先制すると、5回から広島にドラフト1位指名された大瀬良大地投手(22)が登板した。自己最速タイの153キロを計測するなど、2回を1安打、2奪三振の無失点。広島・野村謙二郎監督(47)が視察する前で、堂々の「プロデビュー」を果たした。

 がむしゃらに腕を振った。大瀬良が6回2死一、三塁で迎えたのは4番・陳俊秀(チェンジュンシゥ)。フルカウントからカットボールで空振り三振に仕留めると、ガッツポーズを決めて雄叫びを上げた。

 「気持ちで負けたら打たれると思った。緊張したけどゼロに抑えられて良かった。勝つことが目的なので、失点することなく次の投手につなぐことができて良かった」

 来年を待たずに侍ジャパンの一員としてプロデビューを果たした。4―1の5回から2番手で救援登板。「せっかくなので楽しもうと思って」と笑顔でマウンドに上がった。先頭の張進徳(ジャンジンデァ)を三ゴロ。次打者の初球には自己最速タイの153キロを計測した。「ストレートが良かった」とオール直球の7球で3者凡退。6回は先頭打者の二塁打からピンチを背負ったが、2回無失点で勝利投手となった。

 威力十分の直球が最大の武器だが、それだけではない。昨秋からチェンジアップを使い始め、7月の日米大学野球ではカーブも多投。プロは直球勝負だけで通用するほど甘くないことは自覚している。「緩いボールも使えるようになったのは大きい」と投球の幅が広がったことに手応えを感じて臨んだ登板だった。2イニング目に直球を痛打されると、すかさず変化球を織り交ぜて大器の片りんを示した。

 試合前は、テレビ解説のため現地入りしていた広島・野村監督がグラウンドに姿を見せても気付かず、ドラフト会議で交渉権を引き当てた田村恵スカウトに呼び止められて、慌ててあいさつする一幕もあった。その野村監督も「イメージ通り。三振に取った球は指に掛かってスピンが効いていたし、何より気持ちが出ていた。こういう緊張感を早く経験できたのは大きいね」と目を細めた。

 「勝利投手はたまたまだけど、うれしい。直球も通用する部分はあったし、カットも低めに決まれば、打たれることはないと自信を持ちたい」。手応えの30球。4年後、2017年のWBCではエースを張っていても不思議ではない。

 ◆大瀬良 大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日、長崎県生まれの22歳。小4から野球を始める。長崎日大3年夏の甲子園に出場。九州共立大では1年時から3年連続で全日本大学選手権出場。2、4年時に日米大学野球日本代表。1メートル87、89キロ。右投げ右打ち。

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2013年11月10日のニュース