中井 “モーニングショット”4安打 原監督“予言”現実に

[ 2013年7月3日 06:00 ]

<神・巨>7回2死二塁、中井は坂本の適時打で生還し、笑顔でナインとハイタッチ

セ・リーグ 巨人3-2阪神

(7月2日 甲子園)
 報道陣に取り囲まれた巨人・中井がバスに乗ったのは、選手で一番最後だった。それでも、きょうばかりは怒られるはずもない。4安打2得点に1四球。ゆっくりと帰りのバスに乗り込んだ。

 報道陣に取り囲まれた中井がバスに乗ったのは、選手で一番最後だった。それでも、きょうばかりは怒られるはずもない。4安打2得点に1四球。ゆっくりと帰りのバスに乗り込んだ。

 「甲子園の巨人―阪神戦のスタメン。よし、やってやろうと思った。猛打賞もやったことないし、4安打は初めて」。報道陣の「少しだけ借りを返せたか」の問いには「少しだけですか」と聞き返し、寂しそうだった。

 初回、フルカウントから左前打を放つと、もう止まらない。2点を追う5回2死走者なしから中前打を放つと、直後の坂本の右翼線二塁打で生還。これが今季甲子園4試合目、35イニング目で初の得点となった。1点を追う7回も2死走者なしから右中間二塁打を放ち、坂本の左翼線二塁打で同点のホームを踏んだ。チームが苦手とする能見から3安打でプロ初猛打賞。「基本的には追い込まれるまで真っすぐを狙っていった。1打席目に追い込まれてからしっかり打ったことがその次の打席につながった」。延長11回2死二塁では、渡辺から左前打でチャンスを広げ、立岡の勝ち越しの押し出し四球につなげた。

 名誉挽回の活躍だった。6月3日の西武戦(西武ドーム)から4試合連続で1番で先発出場するなど好調だったが、大失態を犯した。同11日の全体練習に寝坊で約1時間遅刻し、即刻2軍降格。ファンから目覚まし時計を計4個プレゼントされるなど屈辱的な日々だった。「寝るのが怖かった。また遅刻するんじゃないかって」。25日に出場選手登録されると、遠征には目覚ましを1つ携帯し、携帯電話と併用で「起床の友」にした。そんな中井に前日、原監督は「お目覚めの一打」という意味で「今度、中井が打ったら見出しは“モーニングショット中井”だね」。その言葉通り、接戦の流れを引き寄せるラッキーボーイに「きょうの活躍は4番バッターに匹敵する活躍」と最大級の賛辞を贈った。

 「モーニングショット」と言えば、アサヒの朝専用缶コーヒー。目覚めるおいしさが売りで、朝のスタートにふさわしいが売り文句だ。「いい結果が出ても満足せずにやっていきたい」。4時間38分の死闘。中井の意地が首位攻防初戦を白星発進に導き、3・5ゲーム差に広げた。

 ◆中井の遅刻◆ 6月11日午前10時から川崎市のジャイアンツ球場で行われた練習に寝坊で遅刻。高見1軍マネジャーの電話で起こされ、同10時55分になって慌てて球場入りした。顔面そう白で原監督に消え入るような声で「すみません…」と謝罪。指揮官は「緊張感が足りない」と注意し、処遇を一任された川相ヘッドコーチが即刻、2軍降格を決めた。約10万円の罰金も科せられた。中井は「弁解の余地がない」と猛省した。 

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2013年7月3日のニュース