山本V弾 森脇監督「彼の長所は顔やスタイルじゃないから」

[ 2013年5月20日 06:00 ]

<オ・D>勝ち越しソロのオリックス・山本はナインと大喜び

交流戦 オリックス2-1DeNA

(5月19日 京セラD)
 一塁ベースを回ったオリックス・山本は、思わず両手でガッツポーズした。7回、糸井の同点弾でわき返った直後の2死、今度は苦労人が決めた。三嶋のスライダーを左中間に放り込むプロ1号。

 結果的にこれが決勝点となり、9日のソフトバンク戦でサヨナラ打を放った「乗っている男」が、またも大仕事をやってのけた。

 お立ち台では「まさかいくとは」と謙遜したが、「いつも夢見ていた」というアーチを、母・恵子さんが観戦する試合で見事に決めた。サヨナラ打のときは観戦できなかった母の前で記念弾。12日の母の日には、川西市の実家に自ら花束を持って帰宅した孝行息子が、「感謝」とともに1週間後に晴れ姿を見せた。

 ここ4試合連続でスタメンを張っているが、決して華々しい経歴ではない。育成選手として09年に巨人に入団。11年に一度は支配下登録されるが、左膝蓋(しつがい)骨骨折でオフに再び育成契約に戻された。その悔しさを見ていたのが、当時巨人の2軍守備コーチだった森脇監督だ。

 昨秋、トレードでオリックスに入団した際に、「おまえは親から五体満足な体で生まれてきて、このまま川西に帰るのか」とげきを飛ばされた。胸を打たれた言葉は常に心に刻んでいる。自他共に認める不器用な男に、「彼の長所は顔やスタイルじゃないからね」と森脇流の褒め言葉で殊勲弾をたたえた。

 先日、巨人の育成選手で同期だったソフトバンクの福元から「初ヒットを打ちました」とメールが届いた。つらかった思い出をともにした仲間の吉報に、さらにプロでの思いを強くした。サヨナラ打の記念球は、佐藤達の初勝利だったため惜しげもなく渡したが、「きょうは、もらえるんじゃないですかね」とニッコリ。母の恵子さんに届けるつもりだ。

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2013年5月20日のニュース