大嶺 1138日ぶり完封!昨季は「どう投げればいいか分からなかった」

[ 2013年5月20日 06:00 ]

<ロ・広>完封勝利を挙げ、伊東監督(左)にハイタッチで迎えられるロッテ・大嶺

交流戦 ロッテ7―0広島

(5月19日 QVCマリン)
 かつての自分から脱皮した。ロッテ・大嶺が10年4月7日のソフトバンク戦(現ヤフオクドーム)以来、1138日ぶりの完封勝利。今季最多の2万6387人が集まった本拠地ファンの熱い声援を、しっかりと心に刻んだ。

 「マリンで完封ができて本当に良かった。完封は最後の最後まで意識していなかった。9回2死になって自分の球数を初めて確認した。ここ何年も試合で投げていない球数だし、だいぶ(体に)きてますよ」

 150キロを超える速球で押した以前の姿はない。だが、もろさも消えた。初回の速球は130キロ台止まり。ベンチに戻ると、斉藤投手コーチから、上体がブレている点を指摘された。「下(半身)から出て、最後は上からだ」。先発は中13日空いたが、イニングの合間に必死に修正した。6度も得点圏に走者を置いたが、カーブを織り交ぜ、終盤はフォークボールを多投。「3年前(の完封)は勢いで投げていた。きょうは違った」と自信を持って言えた。

 昨年は1軍登板なし。右肩の故障も重なり「どう投げればいいか分からなかった」という。昨秋から「とにかく腕を振れ!」と斉藤コーチに言われ、直球だけを投じた。その中で鋭い振りを取り戻し、フォークボールの落差も生まれた。そして「以前は投げるのが怖かった」というカーブ。サブローから「緩い球を打つのは難しい」と言われたのが本格マスターのきっかけだった。遠回りは無駄ではなかった。7安打無失点。139球が証明してくれた。

 連敗を3で止める快投は、交流戦での12球団完封一番乗りで、今季チーム初完封。登板過多だった救援陣も休ませられた。「いろんな人に支えられてきたおかげ。その人たちのためにも、恩返しできる投球をしたい」

 大嶺はナインから手渡されたウイニングボールを大事に右尻のポケットにしまった。首位を走るロッテに、不遇な時を知る「芯の強さ」を持った男が加わった。

 ≪ロッテ2人目≫大嶺(ロ)が10年4月7日のソフトバンク戦以来3年ぶり3度目の完封勝利。過去2度の完封はいずれもソフトバンク戦で球場は北九州、ヤフーDとなっており、本拠地のQVCでは初完封だ。また、今季交流戦の完投完封第1号。ロッテ投手の完封一番乗りは05、08年の渡辺俊に次ぎ2人目で3度目になった。なお、交流戦は過去9試合で0勝4敗、防御率6・86と結果を出せなかったが登板10試合目で初の白星をマークした。

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