球児 勝つための新球習得 力勝負だけでなくかわす投球も

[ 2013年2月10日 06:00 ]

チームメートとブルペンで投球練習をするカブス・藤川(左)

 カブスの藤川球児投手(32)が8日(日本時間9日)、アリゾナ州メサの球団施設でブルペン入りし、2つの新球を披露した。阪神時代はほとんど投げていなかったカットボールとツーシームで、投球の幅を広げるための新たな試み。守護神奪取への切り札として、キャンプ、オープン戦を通して精度を上げていく。藤川は12日(同13日)にキャンプインする。

 短パンと球団カラーの青いTシャツに身を包んだ藤川が、マウンドから捕手に対してジェスチャーで球種を伝えた。伝家の宝刀フォークではない。カットボールだ。さらにツーシームも試投した。キャンプ地3度目のブルペン入りで48球を投げると、充実した表情で新球の存在を明かした。

 「新しいことにチャレンジしている。もしうまくいかなくても、変更できるように。いろいろなことができる状態にしたい」

 クローザーを務めていた阪神時代の球種は、「火の玉」と称される直球とフォーク、そして時折投げるカーブの3つだけだった。言い方を変えれば、それで十分だった。しかし、メジャーでは「向こうに合った投球スタイルも探さないと対応できない。どういう投球スタイルになるか、全ては結果を出すこと」と、勝つための投球を新たに模索。出した答えが、2つの新球習得だった。

 メジャーでは、日本で一般的な直球(フォーシーム)を投げる投手は少なく、打者の手元で微妙に変化をさせ、バットの芯を外すスタイルが主流。藤川も日本では力で抑えることができても、圧倒的なパワーを持つメジャーの強打者相手には「かわす投球」も必要となる。実際、昨季メジャーに移籍したレンジャーズのダルビッシュは「メジャーの打者はほとんど直球を待っているので、一番効果的だった」とカットボールを軸に投球を組み立てた。ヤンキースの黒田もシンカーを武器としており、「動く球」の習得がメジャーでの成功のカギを握ることは、先人たちが証明している。

 2年契約の総額950万ドル(約8億8400万円=3年目はオプション)で入団した藤川は守護神候補の一人に名前が挙がっている。投球を見守ったクリス・ボシオ投手コーチも「日に日に良くなっている」と目を見張った試運転。新球を引っさげた「ニュー球児」が、12日からバッテリー組キャンプに臨む。

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2013年2月10日のニュース