どうする進路…8球団から調査書も信州No.1右腕に吉報届かず 

[ 2010年10月29日 10:55 ]

本ドラフトで指名がなく報道陣に退室を求める中村監督(右)。柿田もぼう然

 28日のプロ野球ドラフト会議で松本工野球部の柿田裕太投手(18)は指名されなかった。8月末にプロ志望届提出後、8球団から調査書の提出を求められ、指名への期待が高まっていたがラブコールはなかった。

 午後7時30分前。全12球団の指名が終わると中村定史監督(62)は「縁がなかったということだな」と隣にいた柿田に語りかけた。午後4時前からTV中継を見入っていた信州No・1右腕も厳しい表情で力なくうなずいた。続いて中村監督は「複雑な気持ちですが、今後のことはゆっくり考えたい」と、野球部監督室に集まった報道陣20人に話すといったん退席を求め、今後についての話し合いに入った。
 松本工からは82年阪神4位の御子柴投手、84年日本ハム6位の丑山捕手に続く指名が期待されたが、本ドラフトはもとより、育成ドラフトでもラブコールはなかった。
 松本南シニア時代は控え。しかし、しなやかな腕の振りから投げ込む姿に、中村監督は「プロに行ける」と高い素質を感じた。その言葉を伝えられた右腕は「試合で勝ちたい」と出番を求め入学。1年秋から背番1を背負った。試合を重ねるうちに「負けが悔しかった」と闘争心に火がつき、2年秋からは「甲子園」を意識。下半身強化のため自宅から学校までの7キロを自転車からランニングへ通学方法を変えた努力も実り、3年春には練習試合でノーヒットノーランを演じるなど球威、制球とも向上。ネット裏からスカウトが熱い視線を向けるようになった。
 夏は全6戦60イニングを投げ抜き初優勝。甲子園は九州学院(熊本)に開幕戦で1―14と敗れたものの複数の球団から「評価は変わらない」と即連絡が入った。柿田自身も「プロに行きたい」と迷わず目標にした。18回目の誕生日となった8月27日にプロ志望届を出すと8球団から調査書の提出を求められたのだが…。
 入学してから身長は8センチ伸びて1メートル81。球速も25キロアップの143キロまで上がった。公立校の3年間で心技体とも成長し信州を代表する本格派となった柿田。注目される今後については大学、社会人ともオファーが来ているという。

 ▼柿田のコメント 実力がまだ足りない。野球は続けていく。これからもプロを目指していきたい。

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2010年10月29日のニュース