大石は西武!渡辺監督また神の手「何か怖い」

[ 2010年10月29日 06:00 ]

早大・大石の交渉権を獲得し、バンザイして喜びを表す西武・渡辺監督(右)

 【西武ドラフト1位】あふれ出る喜びを抑えきれなかった。両手を高々と掲げたガッツポーズ、そして渡辺監督の両目には涙も浮かんでいた。2年連続で6球団による競合を制した指揮官は、それほど感情を高ぶらせていた。

 「信じられません。今年は最後だったので(当たりクジが)残っててくれと祈ってました。大石君は今年のドラフトで一番評価の高い投手。その選手を行かせてもらって指名できて本当に信じられない。何か怖い。衝撃です」
 昨年は高校生No・1左腕の雄星(花巻東)を6球団の競合の末、最初にクジをつかんで引き当てた。今年の155キロ右腕も同じ6球団の競合。今度は最後のクジだったが、昨年と同じ利き手の右手で引いた。残り物に福があった。6分の1をまたしても的中。その強運はまさにミラクルだ。
 今季は優勝マジック4を点灯させてから、まさかの大失速で2位転落。ソフトバンクにリーグ優勝をさらわれ、CSファーストSもロッテに連敗しシーズンを終えた。気分転換のため4泊5日の一人旅に出掛け、長野の善光寺ではガラス製の数珠の購入。そのアイテムを願掛けで右手に巻いて出陣。さらに「もろ早稲田カラー。家にあった」というエンジ色のパンツもはいた。またも願いは届いた。
 リーグ優勝を逃した敗因は中継ぎの弱さが大きいが、シーズン通して先発の駒不足も深刻だった。競合を回避して即戦力左腕・榎田(東京ガス)の1位指名が有力視されたが、前日の編成会議で指揮官は大石の1位指名を推した。「オレの希望で決めた」。ハイリスクハイリターン。しっかり勝負に勝ってみせた。
 早大ではストッパーを任されている大石に対し、指揮官は「先発として考えている」と明言。先発の適性についても「リリーフで2日続けて4イニング投げていたし、タフさがある」と説明した。大石が入団すれば、涌井、岸とで右の3本柱が完成する。「投球同様にスケールの大きい息の長いピッチャーに育ってほしい。プロ野球界のスーパーエースになってほしい」。3年ぶりのリーグ優勝に向け、渡辺監督は大石に大きな期待を寄せた。
 ◆渡辺監督の昨年のドラフトでの験担ぎ 菊池(花巻東=現登録名は雄星)のクジ引きに臨むにあたり、「彼をはぐくんだ、地元の水と米で身を清めよう」と前夜にスカウトらと雄星の地元・岩手の銘酒「南部美人」を回し飲み。さらには花巻東のスクールカラーである紫色のボールペンをポケットに忍ばせて、見事に当たりクジを引き当てた。

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2010年10月29日のニュース