平成のチョーさん!長野“チーム3冠”得点圏打率6割!

[ 2010年3月8日 06:00 ]

2回1死一、三塁、長野が中越え適時二塁打を放つ

 【巨7-5ソ】巨人のドラフト1位・長野久義外野手(25)が7日、ソフトバンク戦に「8番・右翼」で出場。2回に中越え二塁打、6回にも中越え三塁打を放つなど3打数2安打2打点と気を吐いた。オープン戦の得点圏打率は6割と驚異的な数字で長嶋茂雄終身名誉監督(74)をほうふつさせる勝負強さを発揮。オープン戦の“チーム3冠”に躍り出た即戦力ルーキーが開幕スタメンへ猛アピールを続けている。

 実力に裏付けられた結果に、もう誰も驚かない。中堅を越える2本の長打を放った長野は「投手も調整中だからシーズンに入ったら球も変わると思う」と謙虚な姿勢を崩さなかったが、首脳陣の見方は違った。原監督が「まだ結論は時期尚早だが、このところ最も輝いている」と言えば、伊原ヘッドコーチも「レギュラー級の選手の見方でいい」と評価した。
 積極性が光った。2回1死一、三塁では、カウント1―2から左腕・大隣の直球を中堅フェンス直撃の先制二塁打。6回2死二塁でもカウント1―1からサイド右腕・甲藤のチェンジアップに反応した。「センターが前に来ていたので」と的確に状況を判断。快足を飛ばして三塁を陥れた。
 福岡県境に近い佐賀県三養基郡の出身で、高校は福岡の筑陽学園。試合前には少年時代からあこがれていたソフトバンク・王貞治会長(69)に直立不動で握手した。「攻撃的でいいぞと言われました」。その言葉を早速試合で実践。オープン戦7試合で打率4割、1本塁打、9打点は堂々の“チーム3冠”だ。
 好成績の秘けつは配球を読む高い洞察力だ。06年のアジア大会・韓国戦でサヨナラ3ランを放ち、銀メダルを獲得するなどアマ時代は国際大会で経験を積んだ。海外の試合では初対戦の投手がほとんど。そこでアジャストするには短時間で配球の傾向をつかんだり、分析する能力が必要となる。6日の練習中には「プロは捕手との駆け引きが大事になる。配球を読む力が必要だよ」とラミレスにも助言を受けた。
 初対決となった大隣との対戦では、カウント1―1から内角直球を平然と見逃した。打席内で全く反応せず、周囲には変化球狙いにも映った。だが、その直後、1―2からストライクを取りに来た139キロ直球を今度は強振。「配球を考えている。経験?そうですね。走者のいるときと(いないとき)で考えている」。伏線を張ったかのような見事な二塁打だった。
 配球を読む力と高度な技術で得点圏打率は10打数6安打の6割。長嶋氏ばりのチャンスに強い姿はスター性も十分だ。9日の広島戦(マツダ)の結果次第ではオープン戦首位打者に躍り出る可能性もあるが、求める次元はもっと高い。外野の激戦区を勝ち抜いて開幕スタメンへ。長野は強烈な光を放ち続ける。

 <なるか新人のオープン戦首位打者>長野(巨)が先制の中越え適時二塁打を含む2安打2打点。今オープン戦の得点圏成績は10打数6安打(・600)、1本塁打、9打点とチャンスで結果を残している。現在規定打席に2打席足りないが、20打数8安打の打率4割。巨人で15打数以上の打者ではE・ゴンザレスの・368を抑え最も高く、実質チーム3冠王の活躍ぶりだ。なお、新人のオープン戦首位打者は60年以降では見当たらないが長野はどうか。

 <王さんも絶賛!「すごく攻撃的」>試合前に長野からあいさつを受けたソフトバンクの王球団会長は、2安打を目の当たりにして「体はそんなに大きくないけど、すごく攻撃的な打撃をする。はじき飛ばす力がある」と絶賛した。
 長嶋終身名誉監督とグラウンドでのツーショットが実現した2月21日の巨人との練習試合(サンマリン)でも長野のプレーを観戦していたが「練習もしているだろうし(バットを)振り込んでもいるだろう。それがいい結果につながってる」と進化を続ける新人を高く評価した。
 長野は過去に日本ハム、ロッテからドラフトで指名されながら、巨人入りの夢を貫いて入団を拒否。念願かなってプロ入りした25歳について「巨人が何年も待って獲得したし、彼も巨人を望んで入団した。これから楽しみ」と将来のスター候補生として期待を寄せた。

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2010年3月8日のニュース