ただの“お代わり”じゃない!「動ける4番」は規格外

[ 2010年3月8日 06:00 ]

4回2死三塁、栗山は右前タイムリーを放つ

 【西1-0神】西武の中村が不動の4番なら、この日の阪神戦(倉敷)からその重責を任された栗山はまさに「動ける4番」だろう。180度違う対極のスタイル。右眼窩(か)底骨折の主砲が不在のピンチで、渡辺監督の危機管理オーダーがいきなりはまった。

 「バリエーションが増える、というのはそういうことだからね」。指揮官が振り返ったのは7回の場面だ。1死から栗山が右前打で出塁。そして2死後、ベンチから出たのは盗塁のサインだった。「グラウンドが(雨の影響で)緩かったんで。でもトライしようと思った」と栗山。結果はアウトだったが、これが走者・中村ならありえない作戦だったろう。
 4番打者はチームの中心として打点を稼ぐ。しかし走者としての存在感は乏しい。昨年のパ6球団の4番の盗塁数を見ると、最多は高橋(日本ハム)の7個。中村もわずか3個だった。そんな「走れない」との固定観念を、昨年18盗塁の栗山が打破する。この日は4回2死三塁で右越え適時打。左腕の能見から、追い込まれたカウントでの快打だった。勝利につながるチーム唯一の得点を叩き出し「自信になった」。そんな4番としての働き以上に、7回の走塁には意味があった。
 中村は20日の開幕戦に間に合うかは微妙な状況。穴を埋める存在として期待される栗山は「(実際は3番の)中島さんが1番で自分が2番、ブラウンが3番のつもりでやっている」という。例えば中島が塁上にいれば「セーフティーバントとかをやってもいいと思っている」。中村のパワーが規格外なら、栗山の4番としてのスタイルも規格外。意外性のある発想は、進歩の助けになる。動ける4番は、おかわり君とは別の意味で何とも魅力的だ。

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2010年3月8日のニュース