松井秀 不動心で5年ぶり“鬼門”突破!

[ 2009年10月13日 06:00 ]

リーグ優勝決定シリーズに駒を進め、シャンパンファイトでA・ロドリゲスにシャンパンをかける松井秀喜

 【ヤンキース4-1ツインズ】ヤンキースは11日(日本時間12日)、地区シリーズ第3戦でツインズに逆転勝ち。スイープ(同一カード全勝)で5年ぶりにリーグ優勝決定シリーズに駒を進めた。松井秀喜外野手(35)は3打数1安打ながら、“鬼門”突破にシャンパンファイトで喜びを爆発させた。

 敵地メトロドームが静寂に包まれる中、強さを見せつけた勝者の儀式がマウンド付近で始まった。3試合連続の逆転勝ち。松井は「やはりプレーオフの勝利はまた格別ですね。3試合とも逆転勝ちで厳しい試合でしたけど、接戦をモノにできた」とアルコールで赤く染まったほおを緩めた。
 1点を追う7回、ロドリゲスとポサダの本塁打で逆転に成功した。1点リードの9回はテシェイラ、ロドリゲス、そして松井と3連続四球。執念の継投策に出たツ軍中継ぎ陣をクリーンアップの重圧で満塁とし、2点を呼び込んだ。「違う点の取り方だけど、どちらもヤンキースらしかった」と胸を張った。
 5年ぶりに“鬼門”を突破した。5回戦制の地区シリーズは、実力よりも勢いや流れに左右されるケースが多く番狂わせが起きやすい。ヤ軍は05年から下馬評で有利とされながら3年連続敗退。「守備や走塁のミスでも、何か1つのことでガラリと変わる怖さがある」と短期決戦の怖さを思い知らされてきた。突破へのカギは“不動心”だった。「あえて普段通り。短期決戦だから何かを意識するのではなくね。なぜかというと、それは普段からそういう気持ちで戦っていないといけない、ということ。だからその気持ちでやればいい」。そうして年間両リーグ最多の103勝を積み上げてきた。
 松井自身その3年間は打率・213、1本塁打、2打点と貢献できていなかった。「ここ数年、本当に大きなヤマだった。今年も打率はあまり変わらない(・222)けど、得点には絡めた」。第1戦では試合を決定付ける2ランを放ちチームに勢いをもたらした。
 16日(日本時間17日)からのリーグ優勝決定シリーズの相手は、同じく3連勝で勝ち上がったエンゼルス。「相手も勢いがある。それを止めて、自分たちのペースで試合をできれば十分チャンスはある」。95年から導入された地区シリーズで、過去にヤ軍がスイープ突破した98、99年はいずれもワールドシリーズを制している。松井にとって初の世界一まで、あと8勝。“吉兆データ”を味方に頂点へと突き進む。

 ≪Aロッドまた同点弾!≫ロドリゲスが第2戦に続く同点弾を放った。打線が3安打と沈黙して迎えた0―1の7回1死。かつての同僚パバーノから右翼へ運んだ。今シリーズはMVPはないが、打率・455、2本塁打、6打点の大活躍。05~07年の地区シリーズでは通算打率・159、1本塁打、1打点と不振で勝負弱さを指摘されたが、かつての面影はない。「ここ数年、プレーオフでどうリラックスして戦うか、味方に教わってきた」。ジーター、ポサダら生え抜きから学び、名門球団の真の4番となった。2死後にはポサダが決勝ソロを放ち、9回にもダメ押し適時打。長打力と終盤のしぶとさ。その中心に、生まれ変わったAロッドがいる。

 <ツインズ 完敗「脱帽」>ツインズは、力の差を見せつけられての3連敗。来季から本拠地を移転することで「メトロドームを閉めないために勝ち続けたい」と話していたガーデンハイアー監督も「ヤンキースには脱帽する」と完敗を認めた。9月13日から21戦17勝で手にしたプレーオフの切符だったが、今シリーズは完全に失速。自身3度目の首位打者を獲得し、3試合で12打数5安打と気を吐いたマウアーも「地区優勝でシャンパンファイトしたのが、きのうのことのようだ」と無念の表情で語った。

続きを表示

2009年10月13日のニュース