クルーン 1点差守る汚名返上S

[ 2008年4月30日 06:00 ]

<巨人・広島>9回1死一塁 石原を併殺打に打ち取り雄叫びを上げるクルーン

 【巨人3―2広島】これぞ助っ人祭りだ。巨人は29日、広島相手に助っ人勢が大活躍。ラミレスが7号ソロ、ゴンザレスが今季1号決勝弾を含む2打点と2人で全打点をマークすれば、グライシンガーが7回5安打2失点に抑えて3勝目。最後は守護神のマーク・クルーン投手(35)が1点差を守りきってチームの連敗を止めた。敗れれば5位転落の危機を回避。GWでにぎわった東京ドームのファンを喜ばせた。

 右拳を突き上げ、雄叫びを上げた。汚名返上のセーブの味は格別だった。興奮気味にナインと勝利のハイタッチを交わすとクルーンは、先発勝利を挙げたグライシンガーに記念球を手渡した。
 「とにかく先頭を打ち取ることと、ストライクを先行させることを意識した。助っ人が活躍した?チームのみんなが何とかしようとしていたよ」
 1点リードの9回。先頭の栗原に対して143キロのフォークがすっぽ抜けて左腕に死球。あわや頭部への危険球となる1球で場内は騒然となったが、気持ちは切らさなかった。続くシーボルをフォークで空振り三振。最後は石原にカウント2―1から外角低めのフォークを打たせて二ゴロ併殺で締めた。直球は161キロの自己最速に及ばない154キロだったが、制球重視で結果につなげた。
 27日の阪神戦(甲子園)では同じ1点リードを守れず、押し出し四球でサヨナラ負け。判定を不服として球審に詰め寄ったが、暴言で退場処分まで受けた。実はその試合前、大好物のハンバーガーを購入しに訪れた球場付近のマクドナルドで熱狂的な虎党に囲まれた。写真撮影に笑顔で応じたが、心ないファンからはヤジも飛ばされていた。散々な1日だったが、試合後、クルーンはチーム宿舎の食事会場でテーブルを一つ一つ回り、チーム全員に謝罪した。
 悪夢から2日後、7セーブ目を挙げた右腕は「なるべく早くセーブを挙げることで(甲子園での黒星を)過去のことにしたかった」と吹っ切れた表情で語った。チームは連敗を2で止め、借金2。5月3日からは9連戦も控えるだけに原監督も「ナーバスな部分があったと思うが、よく乗り越えてくれた」と復調したクルーンを評価した。
 「今でも(押し出し四球の1球は)ストライクだと信じている。退場にはなったけど、審判への敬意も持っている」。巨大戦力を支える剛腕が、その輝きを取り戻した。

続きを表示

2008年4月30日のニュース