寂しい?イチロー初安打出ちゃった

[ 2008年3月15日 06:00 ]

<マリナーズ・ジャイアンツ>一回、二塁内野安打を放つイチロー

 【マリナーズ3―3ジャイアンツ】ついに別れのときが来た。マリナーズのイチロー外野手(34)が13日(日本時間14日)のジャイアンツ戦で初回にオープン戦初安打となる二塁内野安打をマーク。連続無安打(チャリティー試合を含む)を8試合、26打席でストップした。3月中旬にようやく訪れた“春”に大リーグ公式サイトはトップ記事で報道。米国でも注目が集まった「1安打」にイチローの存在の大きさがのぞいた。

 試合後のロッカールーム。4打数1安打だったイチローのもとに日米約20人の報道陣が押し寄せた。この日の試合を取材に来たほぼ全員だ。

 「ちょっと残念かな。もうちょっと付き合ってもいいかなという気持ちもあったし。ちょっとお別れする感じが寂しい気もします」

 これほどまで注目を浴びた「オープン戦初安打」があっただろうか。初回。カウント2―1からジ軍先発コレイアの外角低めのカーブを引っかけた当たりは一、二塁間へ飛んだ。「あっ、抜いちゃった」。背番号51はベースカバーに入ったコレイアより先に一塁へ到達してしまった。

 チャリティー試合を含め9試合、27打席目の初安打。三塁ベンチからグリフィン・ヘッドトレーナーが飛び出し、球審に向かって「ボールをくれ!」と叫ぶ。ところが当然のごとくプレーは続行。“記念ボール”を逃したイチローは米メディアに「クーパーズタウン(野球殿堂)に展示してもらう予定だったんだけど」と答えて笑わせた。

 遠く離れたレッドソックスのキャンプ地などでも話題になっていた無安打の“ニュース”。大リーグ公式サイトは「イチローが初安打で冗舌に~無安打の終わりを嘆く~」と題し、トップ級の扱いで報じた。連日の取材攻勢を笑い飛ばしてきたマクラーレン監督にも「やっとぐっすり眠ることができる」と安どの表情が浮かんだ。

 安打を量産することでメジャーNo・1の地位までたどり着いた男は、逆に安打が出ないことで周囲の目を感じることができた。「(過熱報道を)もっとやってちょうだいと思ってました」。これも経験のない種の重圧という。「究極の方を両方行くんであれば、通じるものがあるということ。それが上でも、下でも結構行き着くとこまで行くと似たようなものが出てくる」。そこには人に注目されてこそプロという意識ものぞいている。

 「(周囲の)反応が結構面白かった。だからむしろ追い風だったような気がします」。そう無安打の日々を振り返ったイチロー。8年連続200安打の大リーグ記録、そして日本歴代1位の張本勲氏の3085安打まで残り215本。例年なら平凡に過ぎていく3月に受けた刺激は、記録がかかるシーズンにどんなパフォーマンスをもたらすのだろうか。

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2008年3月15日のニュース