松井秀 勝負バットで確実性UP!

[ 2008年2月9日 06:00 ]

渡米前に会見するヤンキース・松井秀

 ヤンキースの松井秀喜外野手(33)が8日、成田発の日航機で渡米した。昨年11月の右ひざ手術から完全復活を目指す今季は、バットのグリップエンドとヘッドの形状を変更。左翼のレギュラーはく奪の危機に直面し、打撃の確実性をより高めるために決断した。ニューヨークでは手術した執刀医に術後の経過を報告し、12日ごろにフロリダ州タンパに移動予定。20日のキャンプインに備える。

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 かつてないほど厳しい状況で迎える6年目。松井は穏やかな表情とは裏腹に、強い危機感を口にした。「今年は例年と違った気持ちがある。厳しい立場だと思いますけど、それを自覚しながらやっていきたい」

 昨年11月に右ひざを手術。ジラルディ新監督の構想では左翼はデーモンで、松井にレギュラーの保証はない。2月に入ってからは雪などの悪天候もあって屋外での練習は1度もなし。打撃練習すらできないままの渡米で「どこまで野球ができるか分からない」というのが偽らざる本音だ。

 そんな背水のシーズンに、松井は“相棒”であるバットに改良を施した。変更点は(1)グリップエンドの膨らみを大きく(2)ヘッドを平面に――の2点。「見た目は結構変わったかも」と話すほど大幅な改良に踏み切った。

 こだわったのは右手小指の感覚だ。もともと、グリップエンドのくぼみが緩やかなタイ・カッブ型で膨らみが小さめのものを使ってきた。「バットを握る感覚は表現しにくいけど、僕の中では大切」と感覚を重視しており、昨年も小指をかける部分に微調整を施した。

 一般にタイ・カッブ型は重心が手前に来るためバットコントロールがしやすく、アベレージ打者向きと言われるが、松井は重心の位置を保つためにバットの先端を平らにした。昨年は7月に13本塁打して月間MVPに輝きながら、9月は打率・185、2本塁打。長打力を保ちながら確実性を上げるバットは「調子の波を小さくしたい」と話す松井の求めるものだった。1月に用具メーカーのミズノから届いた1本には「素振りをした感覚は凄くいい感じ」と好感触を得ている。

 定位置がないまま迎えるキャンプ。それでも「いつもとの心境の違いがいい方向にいってくれれば。それは楽しみ」と前を向く。頼れるのは自分の力だけ。1年目と同様に、松井はバット1本で存在価値を証明する。

 ≪厳しい今季の松井秀≫03年から不動の左翼だった松井だが、守備を重視するジラルディ監督はリハビリ明けの松井ではなくデーモンに左翼を任せる方針。松井はDHが有力だが、それも安泰とは言えない。マイナー契約のエンスバーグは05年に36本塁打するなど実績は十分で、守備に不安のあるジアンビが一塁からDH争いに加わってくる可能性もある。松井は左翼でもDHでも実績ある選手と争わねばならず、キャンプでは守備に問題がないことだけではなく、持ち味の打点マシンぶりをアピールする必要がある。

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2008年2月9日のニュース