オリ パウエル1年間出場停止なら受諾

[ 2008年2月9日 06:00 ]

オリックスキャンプを訪れた小池パ会長(左から三人目)は仏頂面の中村球団本部長(右)を横目にコリンズ監督(左)と顔を合わせる

 ジェレミー・パウエル投手(31)がオリックスとソフトバンクと二重契約していた問題で、オリックスの中村勝広球団本部長(58)は8日、沖縄県宮古島市内のホテルでパ・リーグの小池唯夫会長(75)と会談。“出場停止期間”を3カ月から1年間に延長すれば、ソフトバンクの契約が優先と判断した勧告を受け入れることを伝え、さらにコミッショナー提訴に踏み切る可能性も示唆した。パウエルはこの日、宮崎市のソフトバンク宿舎を訪れ、王監督にあいさつした。

【パウエル二重契約問題


 パ・リーグ連盟の小池会長、村田事務局長との会談は2時間にも及んだ。オリックス側は村山球団常務と中村本部長が出席。席上、(1)選手登録を1年間受け付けなければ勧告を受け入れる用意はある(2)パウエルを獲得したかのような一連のソフトバンクの行動を注意する(3)関与した両球団の関係者すべてを事情聴取する――の3つの要望を突きつけた。
 その中でも強硬に訴えたのが「パウエルを1年間プレーさせない」というものだ。小池会長は4日に「6月22日まで支配下登録を受け付けない」とする“強い勧告”を両球団に通達したが、中村本部長は「出場停止が3カ月では短い」と主張。その理由を「夏の苦しい時期に大きな戦力に成りうるというのは、同一リーグでは受け入れられない」と説明した。
 パウエルはこの日、ソフトバンクのキャンプ地・宮崎入りし「ホークスの一員」をアピールするなど、オリックスが二重契約問題で劣勢に立たされているのは承知の上。出場停止期間を3カ月から1年間に延長させることが、ソフトバンク入りを認める唯一の妥協点というわけだ。
 これに対し、小池会長は「両球団痛み分けという形を取ったのだから、不満があるのはしようがない」と、勧告の内容を変える意思はないことを強調。ソフトバンクからは逆に期間短縮を要望されているとあって「私は神さまじゃない。こっちを立てればあっちが立たない。両球団で解決していただくのが理想」と苦しい胸の内を語った。
 結局、話し合いは平行線のままで、解決の糸口は見えない。この状況に中村本部長は「われわれが(勧告を)覆すためにはコミッショナー提訴しかないでしょう」と最終手段も口にした。今回の勧告は、パ・リーグ連盟としては事実上の最終判断という解釈で、同会長も「次のステップとして法的手段で解決するとか、野球協約で言えばコミッショナー裁定というのもある」と、オリックスに上訴されることもやむなしとの見解を示した。
 オリックスは12日のパの理事会で他の4球団の反応を見て最終的に決断する意向だが、コミッショナー提訴での決着が濃厚となってきた。

 ≪コミッショナー 上訴応じる!≫コミッショナー側もオリックスから“上訴”があった場合には応じる構えだ。長谷川事務局長は「これだけ両球団が対立し、こじれているのは歓迎できない事態」としたうえで「われわれに判断を求めるとなれば、粛々と対応するだけです」と話した。すでに5日、根来コミッショナー代行がパ・リーグ村田事務局長から今回の件について事情聴取を行っている。長谷川事務局長は「そうなれば両球団から交渉経過を徹底的に報告をしてもらいます」と話した。

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2008年2月9日のニュース