稀勢の里 大関獲りに再加速!初黒星反省…全勝の鶴竜撃破

[ 2011年11月19日 06:00 ]

鶴竜(右)をのど輪で攻め立てる稀勢の里

大相撲九州場所6日目

(11月18日 福岡国際センター)
 前日に豪栄道に完敗した稀勢の里は全勝の鶴竜との関脇対決を制し5勝目を挙げた。連敗すれば昇進に暗雲が立ちこめる中、今場所一番の内容でライバルを一蹴。精神面での成長を示す勝利で、大関獲りに再加速した。白鵬は阿覧を危なげなく寄り切り、琴奨菊も臥牙丸に上手投げで快勝。ともに初日から6連勝とした。
【取組結果】

 亡き師匠、先代鳴戸親方(元横綱・隆の里)も認めた「勝利の方程式」で前半戦のヤマ場を乗り越えた。4連勝で迎えた前日は「力が入り過ぎた」と最悪の立ち合いで豪栄道に惨敗したが、この日は全勝の鶴竜を圧倒。連敗すれば大関獲りに水を差すところだったが、立ち合いで先制すると「左おっつけ」と「右突き放し」でぐんぐん前へ――。「強引に出たら逆転を食う」と土俵際の相手の粘りもしっかりと警戒し、慎重に押し出した。

 納得顔で引き揚げてきた支度部屋。昇進の目安となる3場所33勝まで残り6勝とした25歳は、初めて自らの口から亡き師匠の話題を切り出した。

 「きのうの相撲だったら(師匠に)怒られると思いますから、しっかり反省した。自分に厳しくしないと。そうじゃないと上には上がれない」

 初日から8連勝した秋場所は9日目から3連敗を喫した。ふがいない敗戦に師匠の堪忍袋の緒が切れたのは、日馬富士に敗れた11日目だった。忘れもしない台風が迫っていた夜。師匠にあいさつに行くと正座をさせられ、大きな雷を落とされた。翌日、稀勢の里は白鵬を撃破。取組後、師匠は「周りが“引くぐらい”叱ったから発奮しましたかね」と打ち明け「連敗後に立ち直ったのは心の力がついてきた」と成長を実感していた。

 しかし、ふがいない相撲を取ったあとの“雷”はもうない。稀勢の里は昨夜、一人自室にこもってビデオを見返し、負けた原因を探ったという。この日から部屋の兄弟子・若の里も休場し、部屋頭としての役割も増した。「本当はもっと厳しい攻めをしたい。1回の土俵際で決めないと。もっともっと厳しい攻めをしないと」。常に前向きな気持ちがある限り、大関への扉は必ずや開かれるにちがいない。

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2011年11月19日のニュース