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【名古屋大学】温めると縮む新材料を発見、広汎な応用に期待

[ 2017年1月14日 05:30 ]

 名古屋大学大学院工学研究科の竹中康司教授、篠田翼大学院博士前期課程学生、岡本佳比古准教授、片山尚幸准教授らの研究グループは、公益財団法人神奈川科学技術アカデミーの酒井雄樹研究員との共同研究で、これまで知られた中で最大の体積収縮量を有する、「温めると縮む」新材料を発見した。

 通常、材料は温度が上がると体積が大きくなる。これが「熱膨張」で、グラスに熱湯を注ぐと割れることなど、生活になじみの現象。ところが、ごくまれに、温度が上がると逆に体積が小さくなることもある。これは「負熱膨張」と呼ばれ、身近には氷が水になると体積が小さくなる例がある。竹中教授らは、「層状ペロフスカイト」と呼ばれる構造をもつルテニウム酸化物のセラミック4)が、酸素含有量を減らすと室温を含む広い温度域で大きな負熱膨張を示すことを発見した。

 負熱膨張材料は、材料の熱膨張を抑制・制御できるため、温度による形状変化を極端に嫌う精密光学部品はじめ各種精密機器に利用される他、最近ではファイバー・グレーティングと呼ばれる光フィルターの性能安定化に貢献するなど、さまざまな分野で活用されている。しかし、これまで実用の負熱膨張材料は、β−ユークリプタイトなど、ごくわずかな例に限られていた。

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