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元週刊サッカーマガジン編集長・北條氏 日本に足りなかったのは「勇気」

[ 2014年6月15日 17:47 ]

コートジボワールに逆転負けを喫し、うなだれる日本代表

W杯1次リーグC組 日本1―2コートジボワール

(6月14日 レシフェ)
 日本のサッカーとやらは、どこへ消えたのか。1―2というスコア以上の完敗だった。

 いったい、何が日本に足りなかったのか。乱暴に言えば、失敗を恐れぬ「勇気」だろう。

 アグレッシブな姿勢を失えば、日本のサッカーは成立しない。リスクを恐れ、ひたすら後退する消極的な戦いに終始しては、勝機がめぐってくるはずもなかった。

 良い守備は良い攻撃から生まれ、良い攻撃は良い守備から生まれる、という。この日の日本は、攻と守のどちらも空回りで、互いの足を引っ張りあった格好だ。

 球の支配率も、パスの総数も相手を下回った。本田圭佑の豪快な一発で先制しながら、冷静沈着なコートジボワールに、球を支配された。

 何よりも、前線からの連動したプレスがはまらなかった。結果、背後を取られるリスクを嫌った最終ラインが、ずるずる後退する悪循環。こうなっては、日本の持ち味を発揮しようがない。

 球の回収地点が深く、せっかく奪っても、相手ゴールが遠く、いたずらに攻め急いで球をロストする最悪の展開。守備に追われる時間帯が長くなり、肝心の体力まで失ってしまった。

 ガス欠では、人数をかけた攻撃はやりにくい。少人数でフィニッシュに持ち込めるタレントに乏しい日本は、攻撃の局面で数的優位をつくれなければ、苦しくなる。

 逆転を許し、追う展開となった後半、後方支援が足りず、アタック陣が孤立。コートジボワールの守備陣を脅かす機会すらなかった。

 ベンチワークにも疑問が残る。相手に押し込まれ、パスも回らない状況なら、独りで球を運べるドリブラーの斎藤を使う選択肢はなかったか。

 終盤、パワープレーに転じたが、効果は薄かった。地上戦に徹したメンバー選考のアヤだろう。

 プレスを交わされる、裏を突かれる、1対1で競り負ける……。それらを恐れていては、いつまでたっても、日本らしいサッカーはできない。

 残り2戦、もう失うものはないはずだ。リスクを恐れず、勇気をもって戦えるか。問われているのは、そこだと思う。

 ◆北條 聡(ほうじょう・さとし)1968年8月29日、栃木県生まれ。大学卒業後、93年にベースボールマガジン社に入社し、週刊サッカーマガジン編集部に配属される。日本代表担当、ワールドサッカーマガジン編集長を歴任し、W杯や欧州CLなどを取材。09~13年に週刊サッカーマガジン編集長を務めた。13年10月に退社し独立。現在はフリーとして活躍。

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2014年6月15日のニュース