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5バック布陣ズバリ!オランダ 衝撃的5発で王者スペイン粉砕

[ 2014年6月15日 05:30 ]

オランダ4点目となるゴールを決め喜ぶファンペルシー(左)とロッベン(AP)

W杯1次リーグB組 オランダ5―1スペイン

(6月13日 サルバドル)
 想定外の圧勝劇だ。前回10年南アフリカ大会決勝の再現となった一戦は大会2日目の13日(日本時間14日)に行われ、前回準優勝のオランダが王者スペインを5―1で粉砕した。先制を許しながら前半44分にFWロビン・ファンペルシー(30=マンチェスターU)の芸術的なヘディング弾で同点。後半はルイス・ファンハール監督(62)が決断した5―3―2の布陣がはまって4得点し、4年前の雪辱を歴史的な大勝で果たした。
【試合結果 オランダ代表 メンバー B組順位表&日程】

 W杯史上に残る衝撃だった。FIFAランク15位で下馬評の低かったオランダが、前回覇者にしてV候補のスペインを大量5得点で蹴散らした。

 「思った以上にプランがうまくいった。選手が完璧に遂行してくれた」

 ファンハール監督が振り返ったように、狙いが面白いようにはまった。世界最高のパスサッカーを展開するスペインに対して5―3―2で対抗。DFデフライをイニエスタのマンマーク役に指名し、自陣のスペースと相手のキーマンを消した。

 一方でボールを奪うや手数をかけずに縦パスやクロスを相手最終ラインの裏の空いたスペースに繰り出して決定機をつくり出す。前半44分にファンペルシーが決めた同点弾は左ウイングバックのブリントのクロス1本から。後半35分にロッベンが決めた5点目はスナイダーが出した縦パス1本から生まれた。守備的に見える新システムは、前線のタレントを存分に生かす策でもあった。

 逆の結末もあり得た。昨年11月16日の日本戦では劣勢に回って2―2で引き分けた。中盤の要として期待していたストロートマン(ローマ)が3月に左膝じん帯を断裂。4―3―3の要が不在になった。立て直しを迫られて採用した今回の新システムも、最後の最後まで確信はなかった。

 「トレーニングする時間は5週間だけ。正直に言って(W杯直前の)エクアドル、ガーナ、ウェールズとの試合は良くなかった。この日も前半は相手にポゼッションを与えすぎてうまくいってなかった」

 その停滞した空気を振り払ったのがファンペルシーの同点弾だ。「あれで信頼が生まれた」と振り返ったファンハール監督に対し、エースは「監督が素晴らしい準備をしてくれたし、彼が想定した通りに試合が運んだね」と感謝。ゴール直後にベンチに駆け寄ると、指揮官が構えた右の手のひらに思い切りタッチした。オランダと言えば内紛と不協和音のチームだったが、この日は一体感を印象づけた。

 ただ、来季からマンチェスターUを率いる名将に慢心はない。「オーストラリア戦(18日)はまた別の試合」と冷静。一夜にして前評判を覆したオレンジ軍団は、浮かれることなく次戦に向かう。

 ◆ルイス・ファンハール 1951年8月8日、オランダ出身の62歳。アヤックスの監督として94~95年シーズンの欧州CLを制覇。その後バルセロナで監督を務め、02年日韓W杯を目指したオランダ代表の監督に就任するも、欧州予選で敗退。12年8月に再び代表監督に就任し、W杯ブラジル大会出場を決めた。大会後に退任し、来季はマンチェスターUの監督に就任する。

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