藤井正弘の血統トピック

母系が注入する異質の活力

[ 2014年12月10日 05:30 ]

 12月7日現在の賞金順2歳リーディングのトップは、27頭の勝ち馬を含む81頭の出走産駒が計3億7611万3000円を獲得しているディープインパクト。つい1カ月ほど前までは先行するダイワメジャーを追う2番手集団の一角だったのだが、例によって例のごとくというべきか、今年も11月の“正味1ハロン”であっという間に抜け出し、2位キングカメハメハに8300万円余りの差をつけてしまった。3年前の優勝馬(ジョワドヴィーヴル)と昨年の同タイム2着馬(ハープスター)を出している今週の阪神ジュベナイルフィリーズには、未勝利、特別連勝中のショウナンアデラを送り込んだ。ここで1着賞金6500万円を加算してしまえば、2週を残して早々と5年連続の戴冠に当確が出る。

 ショウナンアデラは祖母のオールウェイズロイヤルが仏1000ギニー馬、3代母のバルボネラが仏G1ロベールパパン賞勝ち馬という血統。古風な欧州牝系に北米チャンピオンサイヤーである母の父イルーシヴクオリティが異質の活力を注入した。現役時代に芝1マイルの世界レコードを記録したこともあるこの母の父は、ゴーンウエスト系らしい一発長打が売り物だ。父は言うまでもなく、母系のスペックも一気の相手強化に耐えうるもの。3連勝で女王の座に上り詰める可能性は十分にあるだろう。

 一方、2位キングカメハメハにも5年ぶりの2歳リーディング奪還のチャンスがわずかながら残されている。それには産駒のレッツゴードンキ(他にロッカフラベイビーが抽選待ち)の勝利が絶対条件だ。レッツゴードンキの4代母ダイナフランダースは芝3000メートルを超える距離のレースを勝った(ブラッドストーンS=中山芝3200メートル)数少ない牝馬。牝系の奥底に眠るスタミナの血は、むしろ翌年のオークス馬を先物買いするつもりで、というこのレースの血統的攻略法に合致する。こちらも5年前のアパパネで実績のある2歳女王決定戦。簡単には引き下がれない。(サラブレッド血統センター)

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