藤井正弘の血統トピック

凱旋門賞馬VSイクイノックス JCで見てみたい

[ 2023年10月4日 05:30 ]

 馬群をすり抜けてきた時には一瞬、夢を見た凱旋門賞のスルーセブンシーズ。レーティング的には想定内だったにせよ、日本調教牝馬で歴代最高着順となる4着は、やはり大健闘というべきだろう。5着に押し上げたハーツクライ産駒コンティニュアスともども、今年の凱旋門賞では決して負け惜しみでなく、ガラパゴスと揶揄(やゆ)される日本産芝血統が正しい筋道で進化を遂げていることを再確認できた。

 第102回凱旋門賞を制したエースインパクトは、17年の欧州3歳牡馬チャンピオンであるクラックスマンの初年度産駒。この父もまた、怪物フランケルの初年度産駒で、種牡馬フランケルの評価を決定づけた中距離王だった。もっとも、現役チャンピオンサイヤーである父フランケルと競合する形の種牡馬生活には相応のハンデもあり、初年度産駒からは他にイタリアG2勝ちの牝馬アロアが出ているものの、牡馬はエースインパクトが唯一のGレース級。ちなみに凱旋門賞は2着ウエストオーバー、3着オネストが、どちらもフランケルの直子だった。一点豪華主義に徹したことが最速ルートでの“父超え”につながったという見方もできるだろう。

 フランケル系の日本適性はクラックスマンと同期のソウルスターリング、モズアスコットによって実証されている。今のところ、凱旋門賞のレーティングはかなり微妙な綱引きになりそうだが、できればジャパンCで世界王者の座をかけたイクイノックスとの直接対決を見てみたい。 (サラブレッド血統センター)

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