藤井正弘の血統トピック

ブリックスアンドモルタル ディープ系牝馬との相性抜群、SSの“再来”米年度代表馬

[ 2023年7月12日 05:30 ]

 【2歳新種牡馬紹介(3)】
 ブリックスアンドモルタル 2014年生まれ 黒鹿毛 米国産 父ジャイアンツコーズウェイ、母ビヨンドザウェイヴズ(母の父オーシャンクレスト)北米で13戦11勝 主な勝ち鞍はブリーダーズCターフ、ペガサスワールドCターフ招待S、アーリントンミリオン 2歳産駒107頭

 19年の米国年度代表馬。3歳時にデビュー4連勝でG2勝ちを収めた後、G3で2戦続けて3着に惜敗。その後に歩様の矯正を目的とした外科手術を施されて4歳時をほぼ全休。5歳時は1月の賞金総額700万ドル(当時のレートで約7億7000万円)の第1回ペガサスワールドCターフ招待Sを皮切りに、現役最終戦となったBCターフまでG1・5勝を含む6戦全勝。圧倒的な強さを発揮して北米芝コースの古馬主要競走を総なめにした。芝での実績を評価された米年度代表馬には12、13年の去勢馬ワイズダンがいるが、繁殖能力を備えた牡馬では前世紀の93年コタシャーンが唯一の先例。米国調教のターフランナーとしては、紛れもなく歴代最強クラスである。

 社台スタリオンステーションに米年度代表馬が導入されるのはサンデーサイレンス以来。現役時代から所有権を手に入れていた吉田照哉氏にとって、年度代表馬の看板は青田買いの成果といえるが、結果的にサンデーサイレンスの再来ということになる。アイアンホースの異名を取った父ジャイアンツコーズウェイは芝血統としてのストームキャット系の最終形態で、ディープインパクト系牝馬との配合では“G1ニックス”の新展開も見込める。血統構成の特徴はストームキャットの父ストームバードの3×3。強いインブリードが遺伝力を増幅させるケースはままある。チャンピオンホースにふさわしい成果を期待できるはずだ。 (サラブレッド血統センター)

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