藤井正弘の血統トピック

グレナディアーズは名牝マーチの隔世遺伝か

[ 2014年6月18日 05:30 ]

 今週のユニコーンSは、JRAで行われる本年最初の3歳ダートグレード競走。実績的には2戦2勝のダート部門に再コンバートされた2歳王者アジアエクスプレスで断然と言えるのだが、収得賞金900万円の新興勢力の中にも血統的な潜在能力を見込める馬がいる。こちらはコンバート2戦目のグレナディアーズだ。

 グレナディアーズの母ヴィートマルシェは、97年の桜花賞馬キョウエイマーチの初子。競走馬としてはダート1000メートルの未勝利戦の1勝に終わったが、繁殖牝馬としては非常に有能で、08年生まれのグランマルシェ(父フジキセキ、中央2勝)を皮切りに、オープンの芙蓉Sを勝った10年生まれのサンブルエミューズ(父ダイワメジャー)、そして15日の新馬戦で下馬評通りの大物感あふれるパフォーマンスを披露したアヴニールマルシェ(父ディープインパクト)と、グレナディアーズを含む4頭の産駒が全て勝ち上がっている。

 皐月賞2着のトライアンフマーチ、現オープンの5勝馬インペリアルマーチを産んだ名牝キョウエイマーチだが、07年に13歳で早世したこともあり、牝駒はヴィートマルシェのみ。つまりこの母は、ちょうどベガにとってのハープスターの母ヒストリックスターのような隔世遺伝の切り札でもある。ハープスターにショウナンラグーン(メジロドーベルの孫)が続いた現3歳世代の血統ムーブメントは、往年の名牝の祖母としてのリバイバル。“第3弾”は、この馬かもしれない。

 (サラブレッド血統センター)

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