藤井正弘の血統トピック

キズナとラストインパクトの“同族ライン”強力

[ 2014年4月30日 05:30 ]

 ステイゴールド産駒(ゴールドシップ、フェノーメノ、オーシャンブルー)、ディープインパクト産駒(キズナ、サトノノブレス、ラストインパクト)、ハーツクライ産駒(ウインバリアシオン、アドマイヤラクティ、フェイムゲーム)が量的にも質的にも拮抗(きっこう)する今回の天皇賞。超長距離部門の覇権をめぐる血統的な巴戦といった様相である。

 実績的には昨年の覇者と1番人気馬を擁するステイゴールドが優位といえるが、昨年2着のトーセンラーが過去唯一の出走産駒でもあるというディープインパクトの効率の良さ、前2年で今回出走の2頭を含む計3頭を掲示板に送り込んでいるハーツクライの安定性も注目に値する。この3頭の種牡馬は全てサンデーサイレンス後継。存在意義が問われるようになって久しい3200メートルのG1競走だが、少なくとも種牡馬単位の勢力図は決してゆがんでいない。あるいはサンデーサイレンス系がステイヤー血脈の概念を変えたというべきなのかもしれない。

 さて、先週は3歳未勝利で芝内回り1400メートルのレコードが出るなど、今の京都コースは異様に時計が速い。マイラーズCもレコード決着だったが、勝ったワールドエース以下、2着フィエロ、3着エキストラエンドと、ディープインパクト産駒が上位を独占した。極限のタイムトライアルなら今週もレースレコードにしてJRAレコード(3分13秒4)を樹立した8年前の優勝馬の血脈の信頼度が増す。ちなみにキズナとラストインパクトは牝祖パシフィックプリンセスを共有する同族で、前者のいとこで94年の優勝馬ビワハヤヒデ、96年の2着馬ナリタブライアンの半妹でもあるスペリオルパールが後者の母という関係。同世代ながらデビュー以来、異なる路線を歩んできた両馬は今回初めて共闘する。この“同族ライン”は強力だ。(サラブレッド血統センター)

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