まるで浅間山荘事件のドキュメンタリーを見ているような作品

浪曲の初代京山幸枝若師匠が「嗚呼機動隊―内田隊長浅間山荘に散る―」と題したLP盤
Photo By 提供写真

　今年は、日本のテレビ放送開始から70年。その先導役である公共放送のNHKと民間放送の日本テレビを中心として、テレビが伝えたニュースを振り返る特集番組が数多くオンエアされています。

　特に事件現場の中継では、1972年2月19～28日、長野県軽井沢町の浅間山荘に連合赤軍が人質をとって立てこもった浅間山荘事件の10時間20分にも及ぶ報道史上最長の中継が、NHKと民放を合わせて89.7％の視聴率を記録したと必ず語られます。私は小学3年生。どのチャンネルをまわしても、このニュースの映像だったことを記憶しています。

　そして、大阪に存在したローオンレコードから、浪曲の初代京山幸枝若師匠が「嗚呼機動隊―内田隊長浅間山荘に散る―」と題したLP盤を、事件解決直後に発表されました。

　いま聴き返しますと、テレビのドキュメンタリーを見ているような作品です。名人芸に加えて、テレビに携わった放送作家の新野新さんの作・構成というのが、やはり大きいのでしょう。　（河内家菊水丸）