今村翔吾「八本目の槍」が吉川英治文学新人賞受賞「聞いた瞬間、ガッツポーズ」

[ 2020年3月2日 19:31 ]

吉川英治文学新人賞を受賞した今村翔吾
Photo By 提供写真

 「第41回吉川英治文学新人賞」が2日発表され、生島企画室所属の作家今村翔吾(35)の「八本目の槍」(新潮社)が受賞した。

 豊臣秀吉が柴田勝家と争った賤ケ岳の戦いで、華々しい活躍をした小姓組の7人(加藤清正、福島正則ら)は「賤ヶ岳七本槍(やり)」とたたえられた。七本槍には数えられなかったものの、これら7人に深くかかわり、ゆるやかにつなぐ者がいた。それが佐吉、後の石田三成だった。

 同賞は、公益財団法人吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援する1980年から創設された文学賞で以降、年1回発表されている。受賞は選考委員の合議によって決定され受賞者には正賞として賞牌、副賞として100万円と置時計が授与される。新人賞という名ではあるが、実態としては中堅の作家が候補者・受賞者の多くを占め、デビュー30年近い受賞者もいる。

 朗報は京都の自宅で聞いた。「何回経験しても、賞はドキドキものです。聞いた瞬間、ガッツポーズを作りました」と喜ぶ今村は当初、東京で出版関係者や友達を招きボウリングをしながら待つ予定だったが、新型コロナウイルスのまん延により自粛し、自宅で静かに待っていた。

 今村は1984年京都府生まれ。デビュー作「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」(祥伝社文庫)で18年、第7回歴史時代作家クラブ・文庫書き下ろし新人賞を受賞。同年、「童神」で第10回角川春樹小説賞を受賞(のちに「童の神」と改題し、角川春樹事務所より書籍化)。19年「八本目の槍」(新潮社)が「週刊朝日」歴史・時代小説ベスト10で第1位に選ばれていた。 今村は「この受賞で僕の文章がどう変わるのか、楽しみです」と目を輝かせていた。

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2020年3月2日のニュース