LinQ解体・再開発に挑む上原あさみさん「メンバーのこの先の人生をつくりたい」

[ 2017年3月23日 13:09 ]

上原あさみさん
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 九州、福岡を拠点とするアイドルグループ「LinQ(リンク)」の解体・再開発プロジェクトマネジャーを務めるのが、LinQの初代リーダー、上原あさみさん(30=株式会社ジョブネット、エンターテインメント事業本部育成事業課プロデューサー)だ。LinQの名付け親でもあり、13年2月17日に現役アイドルを卒業後は、裏方としてLinQを支え続けてきた。厳しい試練を突きつけられたLinQに、今、何を思うのか。彼女の胸の内に迫った。(東山 貴実)

 LinQを一番知り、LinQを一番愛してきたからこそ、大役を託された。解体・再開発プロジェクトマネジャー。11年4月の結成以来、6年目で迎えた新たな局面。昨年12月に今回のプロジェクトをメンバーに最初に通達した上原さんは「メンバー、ファンをここまで追い込んでしまったのかと思うと、苦しくて…」と自らも号泣し、メンバーからは「あさみさんがあまりに泣くから、解散かと思ったじゃないですか」と言われたという。それでも、「今回のプロジェクトは“アイドル”という職業に、あなたは全てを懸けてやっていけますか?”という問い掛けだと思っている。だから、本当にこの世界でやっていくという人間しか残っていけない。甘えはもう許されない」と話した。

 上原さんは10年8月に福岡を拠点とするアイドルグループ「HR(エイチアール)」でデビュー。そして、さらなる飛躍を目指し、同年12月に卒業。そこで新たに立ち上げを目指したのがLinQだった。当初、運営スタッフはわずか4人。上原さん自らメンバーのスケジュール管理、はてはポスター貼り、ネットで注文があったグッズの梱(こん)包、衣装のクリーニング出しまでこなし、それからレッスンに向かう日々だった。LinQというグループ名を最終的に決めたのも、創設メンバーのオーディションで受け付けを務めたのも上原さん。一方で、茶髪から黒髪に変えるなど、アイドルとしてのキャラづくりにも余念がなかった。

 その中でリーダーに就任。当初はファンの間で「アサミン」と呼ばれていたが、その姉御的なキャラが支持され、いつしか「総長」と呼ばれるようになった。そして13年2月に卒業。「LinQは卒業するけど、LinQは辞めない」との名言を残し、裏方としてグループの運営に携わってきた。

 最初の1年は元メンバーと裏方という新旧の立場で「簡単に心の切り替えができなくて…」と葛藤する日々も続いたという。それでも「裏方として楽しまなきゃ」と気持ちの整理をつけ、今ではLinQのステージ構成、演出はもちろん、小学生を対象としたLinQキッズ、新人(研修生)のスカウト、育成、ファンクラブ業務など、多忙ながらも充実した日々を送る。

 現役アイドル時代は「強くなりたい、強くなりたいとの一心でやっていた」という上原さん。そんな彼女だけに、メンバーからの信頼も絶大だ。今プロジェクトを受け、高木悠未からは「私がセンターでなければ…」との弱気な言葉も聞かれたが、「自分を責めても何も生まれない。一生懸命やってきた6年間に変わりはないでしょ?ここから勝負を懸けていこうね」とハッパをかけた。

 「メンバー一人一人、幸せのベクトルも違うので、将来を考える岐路に来ているのは確か。解体・再開発プロジェクトが正しかったのかどうかは分からないけど、今いる子たちが“頑張ってよかった”“これでよかった”と思えるこの先の人生をつくってあげられることが一番ですね」

 運命のプロジェクト公演。5月5日の福岡市民会館まではあと43日。「数えたくないですね。でも、LinQは10周年を迎えたいし、このグループ名はずっと残していきたい。そして将来、グループを卒業してバイバイじゃなくて、裏方に回ってくれるメンバーが出てきたらうれしい」。“元総長”のまなざしは優しい。ピンチはチャンス。アイドル戦国時代を勝ち抜くためのシビアな挑戦を乗り越えることができれば、LinQに明日はやって来る。

 ◆上原 あさみ(うえはら・あさみ)1986年(昭61)5月14日、福岡県出身の30歳。2007〜09年はプロ野球ソフトバンクホークス公式チアチーム「ハニーズ」に在籍。実家は糸島市で農園を営んでおり、いちご「あまおう」などを出荷。「実家に帰って、母親のごはんを食べているときが一番ホッとしますね」。趣味はネットショッピング。血液型B。

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