山本美月「少女」で新境地 闇を抱えるJK役、私生活に「暗さ引きずった」

[ 2016年10月9日 10:45 ]

インタビューで“意外な素顔”を見せた山本美月
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 女優でモデルの山本美月(25)が公開中の映画「少女」(監督三島有紀子)で新境地を開いている。これまでの爽やかなイメージを脱ぎ捨てるように、笑顔を封印して闇を抱える高校生役を熱演。今作で初めて私生活にまで役を引きずってしまったことや、役と重なる自身の女子高生時代についても赤裸々に語った。

 端正なルックスと可憐(かれん)な笑顔からは、華やかな学生生活しか想像できない。いじめを受け、心に闇を抱える女子高生・敦子役がハマッていたのも意外だったが、自身もかつては「目立たない子だった」と話したことにはもっと驚いた。

 福岡県内で規律の厳しい中高一貫の女子校に通っていた。いじめはなかったが、授業中に先生に発言することもなく成績も平均的。「この仕事をしてなかったら、先生に覚えられていないぐらい地味でした」と自虐的に語る。性格も、皆がはしゃいでいるときに「イマイチ、一緒に盛り上がれないタイプ」と笑った。

 高校3年で「東京スーパーモデルコンテスト」に出場し、グランプリを獲得。卒業と同時に上京することを決めたが、その際に母親から出された条件は「東京では大学にも通い、4年で卒業すること」だった。

 その後、受験勉強を頑張り、無事に明治大に合格。高校の生物教諭だった祖父の影響で農学部で生命科学を専攻し、病気に強い植物を研究した。今どきの八頭身モデルにして、地味な学生時代や“リケジョ”(理系女子)の顔も持つギャップが面白い。

 劇中では、親友・由紀(本田翼)との強いつながりを求める敦子の静かな執着心が印象深い。ケガが治っているのに、その足を引きずって歩き続けるという描写も、山本は「由紀の気を引きたいから」と捉えた。実は、自身も高校時代に1人の親友への独占欲を抱いていた。「女だらけの空間で、何て言うか…疑似恋愛みたいな感覚だったんじゃないですかね。他の子と話してると、やきもちを焼いたりした」。今作と同じ、女子だけの世界で体感してきた経験は役作りに大いに生きた。

 原作は湊かなえ氏の同名ミステリー小説で衝撃的でシリアスな展開だ。普段は私生活に役を引きずらないが、直後には主演ホラー映画「貞子VS伽椰子」を撮影。「“少女”でいじめられ、次の作品では周囲が次々死んでいって…。さすがに暗さを引きずって、もう病みに病みまくった感じがしましたね(笑い)」

 芸能生活はモデルでスタートしているが、芝居をしたかった。小学時代に学芸会の演劇で、成仏できずに学校のプールに毎夜現れる幽霊役を務めた。初めて演じる楽しさを知ったが、中学時代は演劇部がなく、高校で念願の演劇部に入った。

 女優デビューから5年で清純な役はもちろん、映画「女子ーズ」など福田雄一監督とのタッグではコメディーにも目覚め、役の幅を広げている。「意外と恋愛ものが少ないので、今しかできないラブストーリーや青春群像劇にも出演したい。アクションもやりたい」と思いは尽きない。

 5年前は現場で自分のことだけを考え、全く緊張しなかったが、最近は共演者やスタッフ一人一人の心中なども気になり始め、緊張するようになっているという。それは、周囲が見えるようになったという成長の証でもあるが、それが原因で力が出せないようでは意味がない。

 「きっとこの状況をさらに乗り越えたら、役者として少し大人になれるのかなと思います」。まだ始まったばかりの山本の女優人生から、今後も目が離せない。

 ◆山本 美月(やまもと・みづき)1991年(平3)7月18日、福岡県出身。2009年の東京スーパーモデルコンテストでグランプリを獲得し、ファッション誌「CanCam」専属モデルとして活動。11年、関西系ドラマ「幸せになろうよ」で女優デビュー。主な出演作に映画「桐島、部活やめるってよ」(12年)、NHKドラマ「64(ロクヨン)」(15年)など。

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