豊洲市場問題渦中で…日当1万円の都議なのになぜ居眠りできる?

[ 2016年10月9日 14:57 ]

6日、東京都議会の経済・港湾委員会で答弁する岸本良一・中央卸売市場長
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 豊洲市場をめぐる集中審議が行われた都議会経済・港湾委員会は、6、7日の2日間で計15時間半を費やし議論が白熱した。その終盤、委員の自民都議から促される形で、中央卸売市場の岸本良一市場長が胸の内を語った。

 「盛り土問題で都政全体の信頼が損なわれた。市場局全体として反省しなければならない」と述べた上で、都政の信頼回復に向けて「市場当局の職員は不眠不休で働いている。1人1人に苦労をかけて申し訳ない」と部下を気遣った。

 委員会に先だって行われた本会議でも焦点は豊洲市場問題。傍聴席はほぼ埋まり、小池百合子知事が「ここまで注目されるのは都議会で初めてのことなのでは」と言うほど世間の関心も高かった。

 そうした緊張感のある中、都議会にとって存在感をアピールする絶好のチャンスだったが、残念ながら一部の都議はグーグーと眠っているように見えた。「都議会のドン」こと自民党の内田茂都議は右手でほおづえをついて両目をつぶる時間がほとんど。自会派の質問終了後に起きた拍手の音に反応して、遅れて拍手する場面もあった。

 複数の居眠り都議の姿を見ていて、学校の授業風景が思い浮かんだ。退屈な授業に眠ってしまう学生のようだったからだ。絶対的な違いは、授業で寝ている学生は先生に注意されるのに、本会議では“センセイ”が寝ていてもお金がもらえるのだ。

 本会議や委員会に出席すれば最低1万円の日当がもらえる。4日、5日の本会議の場合、午後1時に始まり、午後8時に終了。単純計算すると、1時間1400円以上。当然、都民の税金が充てられている。

 寝ている都議を周りが起こさないのも疑問に感じた。平時ならいざしらず、これだけ傍聴人や報道陣に一挙手一投足が見られている中で、居眠りは緊張感に欠ける行為の代名詞といえるだろう。「さすがにヤバい」と焦る都議がいてもよさそうだ、周りが起こそうとする光景を目撃することはできなかった。豊洲市場の盛り土問題は都庁のごまかし体質に批判が向いているが、追及する立場にある都議会が説得力に欠く姿を都民に見せてしまってはいないだろうか。 (記者コラム)

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