球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

チーム強化はフロント補強から

[ 2014年11月30日 05:30 ]

 裕福な球団が市場規模の小さい球団から優秀な幹部を引き抜くのが流行になった。ドジャースがレイズのアンドルー・フリードマン編成本部長を「編成部門取締役」の新設ポストで迎えたのが好例だ。その取締役の最初の仕事がやはり引き抜き。アスレチックスのファハーン・ザイディGM補佐をヘッドハンティングし、GMに据えたのだ。

 ザイディ氏はパキスタン系、大リーグのフロントでは2人目のイスラム教徒だ。カナダで生まれ、フィリピンで育ち、名門マサチューセッツ工科大(MIT)とカリフォルニア大バークレー校で経済学を学んだ。12歳で「野球カードのチームづくりで当時19歳のケン・グリフィー(元マリナーズ)に目をつけた」というデータ・マニア。コンサルタント会社を経てア軍入りし、データ分析による選手発掘で名高いビリー・ビーンGMのもとで10年間働き、その右腕となった。チーム総年俸の順位が常に25位以下でありながらプレーオフに進出するア軍の「陰の参謀」だった。

 ド軍は2年連続で地区優勝したものの、ワールドシリーズには26年も遠ざかる。ライバルのジャイアンツがこの5年で3度王座に就いているのだから、なりふり構っていられない。遅れていたデータ分析を生かすチームづくりの切り札がザイディ新GMなのである。

 かつてのド軍は長期安定のフロント陣のため、昇格人事が詰まり、有能な若手が各球団に移る「人材供給球団」だった。その名門が人材を買い集め、現在は4人のGM経験者がひしめく。「みんなと協力して」とザイティGMは気を使うが、「ドジャースはフロント陣のオーバーホールの最中。ただし部品はGMばかり」とメディアの冷やかしがきつい。 (野次馬)

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