球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

名参謀が導くフィリーズ10年ぶりPO

[ 2022年8月28日 02:30 ]

 フィリーズのジョー・ジラルディ監督の解任は6月3日、監督代行にはロブ・トムソン・ベンチコーチ(59)が指名された。トムソン監督代行は緻密な試合準備の名ベンチコーチで球界では知られるが、ファンには陰の存在だ。トムソン自身が「私は常に控えめに目立たぬように仕事をしてきた」からだ。しかし、就任3カ月近く、主砲ハーパーの負傷、高額年俸選手たちの不振とストレスで爆発寸前のクラブハウス内を統制し、26日現在49勝26敗。絶望的と思われていたプレーオフ進出を狙えるところまでチームを導いた。「陰の存在が主役に」とニューヨーク・タイムズ紙。

 大リーグでのプレー経験はないが、ヤンキース時代から激情家のジラルディ監督の名参謀として過ごし、ワールドシリーズ優勝リングを手にフ軍に移った。選手と衝突した盟友の後を受け、やったことは細かく準備したゲームプランを選手に伝える対話だ。各試合の先発メンバーは必ず前夜に選手に送る…など。

 選手たちはジラルディ解任に責任を感じていた。「新監督に興奮し、我々はあなたについていくと知らせたかった」とシュワバー外野手。就任2週間を過ぎた父の日(6月19日)。選手たちは全員スーツ姿になった。トムソン監督代行はいつもスーツを着ていた。少年時代父とともに観戦した70年代の大リーガーはユニホームを脱ぐとスーツが定番、と選手たちに話していたからだ。

 フ軍のプレーオフ進出は11年が最後で、10年の空白はナ・リーグで最悪だ。期待は増すが、今でもホームの試合では午前10時に球場入り。「ここが一番リラックスできる…」。考える人にふさわしい居場所だ。(野次馬)

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