球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「野球研究所」レイズの“くせ者球団”経営陣主導権争い

[ 2021年5月30日 02:30 ]

 レイズは大リーグの“くせ者球団”だ。野手は複数ポジションを守り、投手も先発、中継ぎ、抑えのどのポジションもこなし、大胆シフトやオープナー戦法を生み出した。レ軍出身のフロント幹部を持つ球団も多く、メディアは「野球研究所」とも呼ぶが、昨季のア・リーグ優勝に続き、今季も東地区でヤンキース、レッドソックスと三つ巴の首位争いを展開している。

 そんなノリノリ球団の経営陣の間で支配権争いが起こった。球団の少数株主グループが、「トップ株主で首席オーナーのスチュワート・スタンバーグ氏はチームの支配権を狙い、14年にモントリオールの投資家グループに株式の一部を売却する計画に付随して不正に持ち株を増やし支配権を握った」と訴訟を起こしたのだ。

 レ軍は大リーグ機構(MLB)の98年球団拡張でア・リーグの持つフロリダ州の本拠地権を買った実業家を初代オーナーとする。スタンバーグ氏は95年に株式の48%を買い、首席オーナーになった投資銀行家。「現在の持ち株85%」と地元紙は報じる。創設時143億円だった球団価値はいま1160億円(経済誌フォーブスの評価)だ。

 スタンバーグ氏は近年経営刷新に熱心だった。評判の悪い本拠地トロピカーナ・フィールドの改築、新球場建設計画、シーズン試合の半分をモントリオールで開催などを打ち出していた。

 敏感だったのは、本拠地セントピーターズバーグ市。新計画が出るたびに「レ軍との球場使用契約は27年まで続く。他地域での試合は禁止、移転はできない」とけん制した。少数株主グループからの反応はゼロ。大リーグでは球団経営権争いは珍しくない。少数株主グループは油断していたのだろう。相手は「くせ者球団」で「野球研究所」のトップ。何でもありなのに…。(野次馬)

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