球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“お騒がせコミッショナー”がまたやった…ブレーブスと先住民団体の議論を切り捨て

[ 2021年10月31日 05:30 ]

 コミッショナーのロブ・マンフレッド氏は、ときに周囲をあ然とさせる発言をする。自分の名を彫り込んだワールドシリーズの優勝トロフィーを「単なる金属の塊」と言い、怒った選手たちの要望で名前が消えたのは失言の代表例。ワールドシリーズでブレーブスの本拠地アトランタ入りした直後、またやった。

 ここではアメリカ先住民の団体と球団の間で、球団名とトマホーク・チョップ(先住民が持つ短いおのを振り下ろす)応援の変更要望で長年話し合いが続いている。「それはアトランタだけの問題」とコミッショナー。「我々は30都市の球団が、それぞれ違うやり方で商売をしている。アトランタの先住民団体と球団はうまくやっている。私は今のブレーブスを支持する。トマホーク・チョップや球団名に関して私の話はこれで終わり」

 プロ、アマ問わず米スポーツ界は先住民の名をチーム名に取り込んできた。先住民のことを考えず、単に記号化した勝手な命名は人種差別につながった。その反省から先住民に関わるチーム名を変えることが常識になった。大リーグでも来季からインディアンスがガーディアンズと改名する。そんな流れの中で、大事なチーム改名を大リーグのトップが「ローカル問題」と切り捨てた。

 各先住民団体が怒りの声を上げ、メディアもあきれて「ローカル問題と言うなら、試合をワールド(世界)シリーズと名乗るべきではない」とニューヨーク・タイムズ。「在任5年の実績は試合時間短縮と称した効果なしのルール変更だけ」との選手、メディアの評に納得だ。コミッショナー自爆の様相。(野次馬)

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